暑いようなうすら寒いような陽気が続いておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。東京ではこの土日久しぶりに快晴が続くということです。
新型コロナウイルスの感染拡大は依然として止まらず、東京でも12日より「まん延防止等重点措置」なるものが始まるそうですね。一体何がどうなってどう効果を発揮すると予想されているのか、私にはよくわからないのですけれども、各地のエンターテインメント公演が無事に継続するよう願うばかりです。
先日のお話ですが、歌舞伎座へ出かけまして四月大歌舞伎の第二部を拝見してまいりました。備忘録として少しばかり感想をしたためておきたいと思います。
麗しの十次郎初菊
第二部は芝翫さんの武智光秀による「絵本太功記 尼ヶ崎閑居の場 」と梅玉さんと孝太郎さんの舞踊「団子売」であります。渋めの狂言立てです。平日に出かけたためか客席は年齢層高めで、他の部に比べると静かなムードが漂っていました。
「絵本太功記 尼ヶ崎閑居の場」は本能寺の変を起こし小田春永を討ち果たした武智光秀が、それを快く思わない母の皐月を秀吉と誤って手にかけてしまうという場面です。許嫁の初菊と祝言をしたばかりの息子の十次郎も命を落とし、光秀は主君を裏切った逆賊としての運命を突きつけられる、そんな悲劇であります。
先月の国立劇場で武智光秀をお勤めになっていた菊之助さんが今月は光秀の息子十次郎をお勤めでした。初菊には梅枝さんという配役です。このお二人がとにかく麗しくて、錦絵を見るようでした…。錦絵が義太夫に合わせて動いているぞというような興奮を覚えました。先月の重厚な役どころも素敵でしたし、お二人のご共演が今後も本当に楽しみでなりません。
個人的にこの芝居は最初それほど好きではなく、吉右衛門さんの光秀に東蔵さんの皐月の芝居で深く感動した経験があったので、吉右衛門さんはその後どうなさっているのだろうかと始終思わずにいられませんでした。舞台の上に思い浮かべては、脳裏に焼き付いているその存在感に圧倒されました。吉右衛門さんの光秀、拝見したいです。
悲劇のあとでの梅玉さんと孝太郎さんの「団子売」はほのぼのとして爽やかで、心安らぎました。団子売りの夫婦が大坂天神橋でお餅つきをするという子孫繁栄の願いが込められた舞踊です。
団子売に登場する、ほかほかのもち米のかたまりを表現した小道具がかわいくて、いつも気になっています。あれは白い布の袋に何かお米や小豆のようなものが入っているのでしょうか。Yogibo的な素材のようにも見えるのですが。触ってみたいものです。