今月上演予定の歌舞伎座・五月大歌舞伎!
緊急事態宣言発令に伴い、3日(月)~11日(火)まで一部上演中止となってしまい、現時点では12日(水)が初日になる見込みです。緊急事態宣言そのものは月末まで延長の方針とのことですが、劇場公演への影響は不明であります。
五月大歌舞伎第一部「新古演劇十種の内 土蜘」は、音羽屋の家の芸として伝わる舞踊劇の名作を、舞踊の名手である松緑さんがお勤めになります。このすえひろもこの舞台を非常に楽しみにしておりましたけれども残念ながらチケットが流れてしまいました…どうか一公演でも多く上演されますように。
12日に無事初日がくるよう願いながら、一足先に過去のお話をいくつかまとめてみます。古く稚拙なものでお恥ずかしいのですが、何卒ご容赦ください。今回初めてご覧になる方にとって、何らかのお役に立てれば幸いです。
「土蜘」超基本情報
ごくごく簡単なあらすじと、役柄についてのお話であります。上演前にパッとお読みいただく程度の内容ですのでお急ぎの際などお役立ていただければと思います。
今月もう少し深く掘り下げてお話していきたいところです。
不気味さがたまらない見得
「見得」と呼ばれる歌舞伎の象徴的なポージングにはさまざまな種類があります。
土蜘には「畜生口の見得」と呼ばれる特徴的なものがあり、ゾクッとするような不気味な雰囲気がなんともえいずカッコいい名場面です。横目でじろりと見ながら数珠を口元に当てるというものなのですが、これは一体何を表しているのかということをお話しいたしました。
「土蜘」はクモではない?
クライマックスでは不気味な僧・智籌(ちちゅう)が蜘蛛の精の本性を顕し、舞台上で蜘蛛のシンボルといえる糸をシュパシュパとまき散らします。客席が大いに盛り上がる場面です。
しかしながら「土蜘」という言葉には、「鬼滅の刃」で悲しい過去を持つ鬼の累が、蜘蛛的な能力を持って疑似家族をなしていたように、いわゆるスパイダーだけではない深い意味があるようです。
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「能」が下敷きの演目のお約束
土蜘では舞台の上の大道具が非常にシンプルなことも大きな特徴です。
この作品は能の「土蜘」という作品を素材としており、それを示すお約束としてこのような大道具になっているのであります。
そのお約束についてお話したのがこちらの回です。土蜘に限らず他の演目でも見られるものですのでぜひご一読ください。
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尾上菊五郎家の家の芸
今回、松緑さんがお勤めになる「土蜘」
音羽屋にとっていかに大切な演目であるか、またどういった傾向があるかということをお話した回がこちらです。歌舞伎では「家」という枠組が非常に大きな意味を持ちますので、まったく話足りない記事ですがご興味をお持ちの方はぜひお読みいただけたらと思います!