歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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【2021年5月歌舞伎座で上演予定!】やさしい三人吉三巴白浪 まとめ

今月上演予定の歌舞伎座・五月大歌舞伎

緊急事態宣言発令に伴い、3日(月)~11日(火)まで一部上演中止となってしまい、現時点では12日(水)が初日になる見込みです。

第一部「三人吉三巴白浪」は、数ある演目の中でも屈指の名作として知られる演目です!今回は右近さん・隼人さん・巳之助さんという大変お若い配役での上演で、ファンの方々も心待ちになさっていたものと思います。先日も右近さんがテレビ番組にご出演の折、歌舞伎座で主役をお勤めになることの喜びをきらきらと語ってらして、一公演でも多く上演されてほしいと切に思いました。

12日に無事初日がくるよう願いながら、一足先に過去のお話をまとめてみます。今回初めてご覧になる方にとって、何らかのお役に立てれば幸いです。 

三人吉三巴白浪とは

三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)は、1860年(安政7年)の1月に江戸は市村座にて初演されたお芝居。幕末の名作者・河竹黙阿弥が二代目河竹新七の時代に作られたもので、江戸時代の現代ドラマである「世話物」と呼ばれるジャンルの名作として知られています。

歌舞伎屈指の名台詞と、独特の退廃的な色気や焦燥感が魅力的な物語です。

主人公は、三人の吉三郎。それぞれ和尚吉三・お坊吉三・お嬢吉三と呼ばれています。三人はある節分の夜に偶然巡り合い、おまけに揃って盗賊で、義兄弟の契りを交わします。ところがそこからぐるぐると因果が巡り、狂いゆく運命に翻弄されていくのでした。

全体のあらすじ

今回は発端の「大川端庚申塚の場」のみの上演です。そのあとに展開していく物語が非常にドラマチックですので、ご興味をお持ちでしたらお読みいただければと思います。

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演目のモチーフ

三人吉三」のおもしろさのひとつが、当時の民間信仰や通俗的な存在を巧みにモチーフとして取り入れている点かと思います。

特に、今月上演の大川端庚申塚の場にかかわる「庚申」については、知ってからより演目がおもしろく感じられた情報でしたので、お話したいなと思いました。

お嬢吉三のモチーフになっている「八百屋お七」も、歌舞伎や浄瑠璃ではお馴染みの女性ですのでご紹介したく思います。

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なんだか惹かれる「女性装の盗賊」

河竹黙阿弥作の演目には歌舞伎屈指の名セリフとされるものがいくつもありますが、中でもとりわけて有名な2つはどういうわけか「女性装の盗賊」のものです。

女性装の盗賊というのは「三人吉三」のお嬢吉三と「弁天娘女男白浪」の弁天小僧菊之助であります。2人は現代にいたるまで長年愛されているわけですが、それぞれが違っていて興味深いなと思ったので、盗みの手口などから比較してみました。

似た特徴を持つキャラクターを巧みに描き分けて深みを持たせている、黙阿弥という作者のすごさを再認識した次第です。

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ゆかりの地

三人吉三巴白浪はロケーションが魅力的な演目で、幕末の下町にはこんな人たちが本当にいたのではないかと思わせるようなリアリティがあります。

ゆかりの地が都内の狭いエリアに集中しており、数時間でササッとめぐることができますので、感染状況が落ち着き気軽にぶらぶら歩きができるようになった暁には、ぜひお出かけくださいませ。

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公演の詳細

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