梅雨らしく毎日じとじととしていますが皆様いかがお過ごしでしょうか。
このすえひろはといえば、ちかごろ巷に流行しているらしいオートミールにハマってしまい、いろいろな調理方法を試みています。がんばればパンも作れるそうです。可能性は無限大ですね。
さて先日のお話ですが、歌舞伎座へ出かけまして念願の第二部「桜姫東文章 下の巻」を拝見してまいりました!緊急事態宣言発令の際には、この先数か月にわたり全面休演になってしまうのではとヒヤヒヤいたしましたが、無事に上演が始まり本当に良かったですね…!
初回の興奮がいまだ冷めやらずちょっと言葉にできそうもありませんが、備忘録として少しばかり感想をしたためておきたいと思います。
清玄の手の哀れ
「桜姫東文章 下の巻」は、四月に上演された「上の巻」の続きで完結編です。36年ぶりに仁左衛門さんと玉三郎さんのご共演で上演され大きな話題を呼んでいます。
上の巻の際にも同じようなことを申しましたが、なぜにこの舞台を2021年の自分がこの目で拝見できているのだろうかと不思議になってしまうほど、夢にまで見た舞台です。仁左衛門さんと玉三郎さんはもちろんのこと、このような機会を作って下さったすべての皆様と、全ての発端と言っても過言ではないと思われるT&T応援団の皆様に、心から感謝いたします。ありがとうございます。
上の巻を拝見した時に受けた衝撃はやはり視覚刺激や濡れ場の耽美さによるものが多くを占めていたのですが、下の巻を拝見し、改めて演目そのものの面白さ奥深さを感じました。
下の巻で桜姫は清玄を殺め、女郎屋に売られ風鈴お姫に、そして元の姫としての自分自身を軽やかに取り戻します。桜姫が辿っていくひとつひとつの人生の出来事の中に玉三郎さんのあらゆる芝居、表情、姿、声の魅力が爆発していて、初演の桜姫は当時のスター岩井半四郎であったという要素が演目を味わうためにいかに重要であるかを理解しました。
理屈の前にまず役者の圧倒的な魅力があり、ベース音のように人生の混沌がどろどろと張り巡らされ、観客の私はその混沌に巻き取られ、役者から片時も目を離すことができなくなりました。南北の作劇術に改めて脱帽した次第です。
また今回の下の巻では仁左衛門さんの清玄に釘付けになりました…。。権助も本当にカッコよくて最低な奴で、ぽろっと事実を漏らす酔態も夢から醒めるように情けなく、とにかく最高でしたが、現状初回は清玄で胸いっぱいです。
仁左衛門さんが悪役をお勤めになり無残に人を斬り殺す場面ならまだしも、仁左衛門さんご自身が惨たらしく殺される役をお勤めになっている場面をこれまでに見た記憶があまりないので、毒を飲まされそうになり渾身の力を振り絞って抗おうとする迫力のすさまじさに圧倒され…。さらに桜姫に蔦のように執念深く縋り付く手つきから、見ていて泣けてくるほどの哀れを感じ、それが不思議と西洋の宗教画のように美しくて、目に焼き付いています。
ちょっと今回は清玄の姿にあまりにも胸打たれ、細かな記憶が飛んでしまったので、次回は権助もしっかりと堪能したいと思います。
注目の桜姫東文章グッズは、バリエーション豊富に展開していました!
歌舞伎座売店ではクリアファイル1000円、チケットファイル1500円、ポストカード300円というラインナップであります。垂涎です。
このすえひろも勢い任せに購入したものの、もったいなくて本来の用途で使えそうもありません…。チケットファイルはまだしも、こんなに麗しいクリアファイルに挟めるような書類がありません。写真立てや額などに入れて部屋に飾っておこうかと考えております。
四月の第一弾ポスターは瞬く間に売り切れてしまいましたから、今回も売り切れが早いかもしれませんね。お求めの方はどうぞお急ぎくださいませ。
また今月も、仁左衛門さんと玉三郎さんのイヤホンガイド特別インタビューの放送があります!開演前の放送は13時50分から、幕間の放送は幕間開始直後からです。貴重なお話を伺うことができ感無量でありました。ぜひにとおすすめいたします!