歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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今日は東京オリンピック開会式

とにかく暑い日々ですが皆様いかが過ごしでしょうか。熱中症には何卒お気をつけくださいませ。このすえひろはといえば、1回目のワクチン接種を済ませてまいりました。まだ何の反応もありませんので、このまま健康に過ごせればよいなと思います。

 

本日23日からとうとう東京オリンピックが開幕いたしました。

お昼ごろには東京都庁に勘九郎さんが、大河ドラマ「いだてん」の金栗四三さながらの出で立ちでお出ましになったそうで、動画を拝見してぐっと来ました。1964年の東京五輪の聖火ランナーになれず治五郎先生に謝っていた金栗さんの姿を思い出し、ドラマの視聴者として胸が熱くなりました。

いだてんはオリンピックの栄光だけでなく暗部も描き、その意義を問う本当に素晴らしいドラマであったなと、昨日の総集編を拝見してしみじみ思っていました。「今の日本は世界に見せたい日本ですか」「どこで間違えた…」というセリフが現状と重なり、ずっと頭の中を渦巻いています。

 

そして今夜の開会式には海老蔵さんがご出演になりましたね!

「暫」の圧倒的存在感、本当にカッコよかったです!!この場で「暫」を披露されるにはやはり海老蔵さんしかいないと感じました。同時に歌舞伎という華やかな文化を本当に誇らしく思いました。

 

しかし海老蔵さんは近ごろ、新作歌舞伎において問題のある演出をなさっていたと記憶しています。実際の舞台を拝見していないのでその点についての直接的な批判は出来ませんが、この国際的行事への参加は想定の範囲であったはずで、その上でどうしてそのような演出を良しとされたのかは非常に気になります。

舞台における海老蔵さんの圧倒的存在感は賞賛しますが、この件はやはり問題であると思います。その点は表明しておきたいと思い筆を取りました。

 

日本には海老蔵さんの他にも素晴らしい歌舞伎役者の方々がたくさんいらっしゃいます。

しかしこのような場に出演される方が限られるのは事実であり、歌舞伎を代表して国際的舞台に立つ可能性があるという重みを踏まえ、今後はどうか全方位に想像力を張り巡らせ、古典に邁進していただきたいと切に願います。 

開会式で歌舞伎にご興味を持たれた方にはぜひ劇場でご覧いただきたいです。その際にお役に立てればうれしく思います。

 

ここのところ開会式に関して、日本国籍の者として女性として人間として、あまりにも許しがたいことが次々に報じられ、本当に恥ずかしいと感じました。もはや現実感がないような日々でした。

なかでもその人選には非常に不快感を覚えました。もちろん作品を含む過去の活動すべて清廉潔白であれというのではなく、2021年のこの場において最適な選出と言えるか、その理由は、というお話です。

 

音楽の方は結局辞任となりましたが、本来はそもそも最初から選出してはならないところを、問題が話題になってもなお引き留めた組織のありようが解せませんでした。海外で報じられてからの辞任、なぜその前に解任するという選択ができないのでしょうか。一方で、演出の方は即座に解任されました。この違いはなんでしょうか。

人権に対する姿勢にあまりにも一貫性がなく、本質を見失っている、人権軽視と思わざるを得ない対応だと思いました。日本は2021年の世界において、五輪憲章に基づいて世界各国の人々を招き入れることができるような程度の国ではないことが明確になり、その社会の一員として心の底から恥じています。

 

人権軽視はこの国に暮らす自分自身の中にもおそらく根付いているはずで、早急に更新しなければなりません。歌舞伎の演目の中には、現代の感覚では通用しないような表現も多々あります。それを否定せずに現代の感覚の中に落とし込んでお伝えできるよう、今後も努力精進してまいります。

 

祝祭の浮かれムードで忘れてしまわないよう書き添えておきます。

大会開催の方法とその是非について、ここまでも自分にできる限りの行動をしてきましたが、そのすべてが無視され、うやむやになり、今日を迎えました。国際社会に対しどう誇りを持てというのか、祖国にここまで失望、絶望できるものだろうかと思わされます。

世界各国すべての参加者の方々が、この困難な状況において力を最大限に発揮できるよう願っています。心から応援しています。

しかしその輝きをくすませてしまうようなニュースはこれからももたらされ、全てがうやむやにされるでしょう。本当に苦しい状況にあるこの国において、この国の伝統芸能を愛する自分自身に今一度向き合って参る所存です。

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