早いもので七月も今日で終わり…今月は、東京都の一日の新規感染者がついに4000人を超えてしまい、減る要素も特にないなかでオリンピックフィーバーという混沌とした状況のひと月でしたね。人生の中でも特に印象深い月になりそうです。
毎年楽しみにしている大阪松竹座の七月大歌舞伎の遠征を断念したことはとても残念でしたが、そんななかでも歌舞伎座と国立劇場で楽しく芝居を拝見することができ幸せに思います。来年こそは暑い夏の大阪に行き、美味しいものをたくさんいただき、すばらしい芝居を堪能したいと思います。
今月拝見した芝居のなかでも特に印象に残っているのは、歌舞伎座の「鈴ヶ森」と国立劇場の「義経千本桜 川連法眼館」でしょうか…
又五郎さんの佐藤忠信・源九郎狐、義太夫で描かれている世界がそのままに見えてくるようで本当に素晴らしかったです。これまではどうしても子狐の気持ちの方に感情移入したり見た目の華やかさにとらわれてしまっていましたが、佐藤忠信のさむらいとしての在り方と心が明確に伝わってきて、自分の中での川連法眼館の世界がぐっと奥行を持ちました。川連法眼館は今後何度も拝見するはずですから、このような体験ができ本当に幸せに思いました。
オリンピック開会式の海老蔵さんご出演による反響はどうだったのか、さまざまな意見を目にしますけれどもよくわかりません。どうあれ歌舞伎に興味を持たれた方が一人でも増え、歌舞伎座をはじめとする劇場が賑わい、仲間ができるとうれしいのですが。
世界中から集まった選ばれし方々の類まれなる身体能力や知らなかった競技をテレビ越しに目にして驚き興奮するのと同時に、とても複雑な心境でもあります。失ったチャンスの大きさを思い途方に暮れてもいます。
必要な補償、検査体制の充実、病床の改善、水際対策の徹底、ワクチンの供給などなど様々な優先すべき事柄が適切なタイミングで整えられ、開催可否の現実的な議論や再延期の実現ができていたらと思わずにいられません。一年以上あったのですから。
このような複雑な状況でオリンピックの日を迎えざるを得なかった選手の方々の心境を思うと胸が痛みます。私自身も生涯に一度あるかわからない自国開催をまっさらな気持ちで楽しみ、競技場で応援したり、仲間と集まり飲んだり食べたりして浮かれたかったです。
感染状況が日に日に悪化しており、誰のためのオリンピックであるのか、ずっと疑問が頭をもたげ続けるのが苦しいです。大河ドラマ「いだてん」を見たおかげで、オリンピックやスポーツに対する自分の視点が以前とは比べ物にならないほど多角的になったのかなと思います。いいドラマでした。何はともあれ、素敵なドラマとの出会いに感謝しています。
さて、来月はどんな芝居が待っているのでしょうか。
楽しみに今日は休みたいと思います。おやすみなさいませ。