歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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歌舞伎座 八月花形歌舞伎 第一部 加賀見山再岩藤を見てきました!2021年8月

今日は終戦記念日ですね。命を落とされた全ての方に哀悼の意を表します。不安な世の中ですが決して過ちを繰り返さぬよう努めてまいります。

 

近ごろは八月半ばとは思えないほど涼しく強い雨の降り続く日々ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。全国で大雨に伴う災害が起こっていて本当に心配ですね。水の恐ろしさを感じます。みなさまどうぞお気をつけてお過ごしください。

 

このすえひろはといえば、改めてハザードマップを見直したりしていました。ハザードマップを見直すといっても荒川の氾濫という最悪の事態の場合、居住区内には浸水しない地域がほぼなくなるので、一体どうしたものかなと思います。やはり自宅に備蓄をしておく以外になす術はなさそうです。どうか川が氾濫しませんようにと願うばかりです。

 

さて、先日のお話ですが、歌舞伎座へ出かけまして八月花形歌舞伎の第一部を拝見してまいりました!備忘録として少しばかり感想をしたためておきたいと思います。

鷹之資さんのかき氷を食べたかった

第一部は「三代猿之助四十八撰の内 加賀見山再岩藤」です。いわゆる「骨寄せの岩藤」に三代目猿之助時代の当代猿翁さんが改訂・新演出を行って上演された人気作です。

今回の上演は岩藤怪異編と題して、職場ハラスメントの権化たる岩藤の亡霊のエピソードを中心に上演されました。ゾッとしてひんやりという日本の夏らしい趣向です。

岩藤を含め六役早替わりでお勤めになるはずであった猿之助さんは休演中で、巳之助さんが代役として六役をお勤めになりました。二代目尾上は雀右衛門さんです。

 

こういった趣向の演目で猿之助さんの代役を急遽お勤めになるというのはさぞかし大変なことと思います。客席の視線を集中させるような猿之助さん独特の存在感とはもちろん違いますが、巳之助さんの爽やかな味わい、仕掛けを感じさせずにサラッと登場するさまがクールで私は好きでした。女形もお綺麗ですね!今後のご活躍が楽しみです。

また、早替わりとホラー的演出がくるくると展開するエンタメ性の高い味わいのなか、雀右衛門さんの二代目尾上がお出ましになるとぐっと歌舞伎らしい重みが加わり、満足感がありました。雀右衛門さんの二代目尾上が完全なる善として存在していることで、巳之助さんの岩藤の憎々しさが際立ったように思います。

 

そういえば巳之助さんの代役で鳥居又助を熱演なさっていた鷹之資さんが、歌舞伎座一階「檜」のかき氷の監修をなさったらしいですね!

黒蜜きな粉白玉寒天ミルクにマカロン添えという、豪華なメニューでした。日程が合わず味わえなそうで大変無念です…。お好きな方はぜひチェックなさってみてください。

 

また、私が偉そうに申すことでもないのですが、このところ整列退場が守られにくくなっているのかなという印象を受けて少し気になっています。たまたま私が出かける日に限ってはの話なのかもしれませんが、係の方が客席に入る前に退場なさる方が以前よりも増えたように思います。恐らくお一人お一人に悪気はなく、場のムードでそのようになってしまうのではないかとお見受けします。

歌舞伎座は基本的にカーテンコールがないこともあってか、もともと幕が閉まればお客さんも一目散に退場するところがあります。以前ご一緒した方に、みんなどんどん帰っちゃうんだね!と驚かれたこともありました。

しかし現在は劇場玄関や通路の密集を避けるため、退場の際は係の方の案内があるまで着席して待つように協力を求められています。劇場公演が安全に継続されるため、また我々の健康のためにもなることなので、ともに守っていきましょう。一日も早く、以前のような観劇スタイルが戻ることを願っています。

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