歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

広告

歌舞伎座 十二月大歌舞伎 第二部 男女道成寺・ぢいさんばあさんを見てきました!2021年12月

近ごろは冬らしく空気が乾燥していますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。お風邪など召されませんようお気をつけくださいませ。

このすえひろはといえば、先日からいよいよ始まりました鬼滅の刃 遊郭編をワクワクしながら楽しんでおります。昨日もリアルタイムで拝見したところです。

次回予告で一瞬登場する定式幕的な色合いのものが、横方向ではなく縦方向に降りてくる点に毎回反応してしまいます。ともあれ、大正時代の吉原のようすがアニメではどう描かれるのか今後も楽しみです。

さて、先日のお話ですが、歌舞伎座へ出かけまして十二月大歌舞伎の第二部を拝見してまいりました。備忘録として少しばかり感想をしたためたいと思います。

男女道成寺に夢中に

第二部は「男女道成寺」「ぢいさんばあさん」という狂言立てです。

男女道成寺」は勘九郎さんの白拍子花子と尾上右近さんの白拍子桜子実は狂言師左近という配役。近代における舞踊の神さまのような名優六代目菊五郎の血を引くお二人の男女道成寺は、身体能力が炸裂していて隅々までおもしろく、それぞれの京鹿子娘道成寺も拝見したくなるような素晴らしい舞台でした…。

勘九郎さんの女形の上品さと清潔感が大好きなのでたまらなかったです。右近さんのおかめやひょっとこのお面をかわるがわる操る場面は、このまま3時間くらい拝見したいくらい楽しく、あっという間の35分でありました。

年の瀬という感じはしませんでしたが、やはり道成寺はおもしろいですね。ただひたすら美しいという、過剰なほどの華やかさが好きです。気持ちが浮き立ちます。

 

続く「ぢいさんばあさん」は、勘九郎さんの美濃部伊織と菊之助さんの伊織妻るん、彦三郎さんの下嶋に歌昇さんの久右衛門、若夫婦は尾上右近さんと鶴松さんという配役でした。

この演目は仁左衛門さんと玉三郎さんの配役が大好きで大好きで思い入れの深いものでしたが、お二人よりもかなりお若い配役であるのにまた違った重みが感じられたように思いました。自分自身が年齢を重ね、自分に子はおりませんが子を持つ世代になったということが大きいのかもしれません。一人残されたるんさんが、子を亡くし仕事に生きた37年間の果てしなさを思って涙しました。

 

実は、この芝居見物直後に吉右衛門さんの速報を知ったのでした。そんなわけでしばらく記憶が吹き飛びかけていましたが、無事に思い出すことができました。芝居は大切ですから思い出すことができてよかったです。

そろそろ報道があると知っていて、菊之助さんはどんな思いで舞台に立たれていたのか。思えば勘九郎さんも、勘三郎さんが亡くなられた日に口上をなさっていましたね。そのつらさを想像するだけで胸が張り裂けそうなのに、そんな様子は微塵も感じさせずに我々に夢を見せてくださる役者さんという存在に改めて感謝しました。

Copyright © 2013 SuehiroYoshikawa  All Rights Reserved.