歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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南座 當る寅歳 吉例顔見世興行 第二部を見てきました! 2021年

ここ数日のところ本当につらいニュースが続いていますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。やりきれない思いです。人の心というのは本当に計り知れないもので、こんな時こそ物語が必要だと感じます。

こんな時ですが、先日、南座 當る寅歳 吉例顔見世興行 第二部を拝見してきた際の感想を、備忘録として少しばかりお話したいと思います。本日から竹三郎さんが第三部を休演なさったとのこと心配しております。一日も早く体調が戻られることを祈っています。

最高の身替座禅

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今年の吉例顔見世興行 第二部は「三人吉三巴白浪 大川端庚申塚の場」「身替座禅」という狂言立てです。

三人吉三」は孝太郎さんのお嬢吉三に、隼人さんのお坊吉三、芝翫さんの和尚吉三という配役でした。はるばる旅して拝見する京都の顔見世で自分の地元が舞台の三人吉三を拝見するというのはなんとも不思議な感じがしましたが、これもまた味わい深くて良いものでした。

孝太郎さんのお嬢吉三は確か初めて拝見したように思います。ドスの効いた男性の声で本性をあらわす瞬間が自然な切り替えでなんだかとってもカッコよかったです。新鮮な体験でした。芝翫さんの和尚の衣裳が成駒屋仕様だったので、ますます浮世絵から飛び出してきたようでした。

 

身替座禅」は仁左衛門さんの山蔭右京、芝翫さんの奥方玉の井、隼人さんの太郎冠者に千之助さん莟玉さんの千枝小枝という配役でした。みなさまなんて美しいのだろうとうっとりしてしまうような配役です。

うっとりだけでなく隅々までが本当に楽しく、客席の笑いと舞台上が呼応しつつも上品さは保たれていて、夢中になり時間さえ忘れるようなひとときでした。

仁左衛門さんの右京の可愛らしさは何度拝見してもたまりませんね。あれでは玉の井も片時も離れたくないでしょうし、許してしまうでしょう。花子が会いたがるのももっともだと思います。とにかくたまらないですよね。

とにかく楽しい一幕で、素晴らしい2021年の芝居納めでした。第二部全体を通じて隼人さんが存在感を発揮され、活躍されていたように思いました。お声の調子も少し変わったように思われました。特に太郎冠者は楽しかったです。来年のご活躍も楽しみです。

 

第一部の藤十郎さんの追善に合わせてロビーで行われていた、藤十郎さんのお写真の展示を幕間に拝見しました。どれもお綺麗でやわらかで、藤十郎さんがご活躍になった期間から比べたらほんのわずかな年数でしたが、拝見できたことをしあわせに思います。

そして藤十郎さんのまねきに続き、秀太郎さんのまねきも見られなくなってしまったことになんともいえない寂しさを覚え、大きな喪失感を感じました。

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藤十郎さんと秀太郎さんのお芝居は東京で拝見できても、やはり京都の顔見世で拝見するのは特別でした。

上演前には吉右衛門さんもお好きだったといううどんそばのお店「権兵衛」で吉右衛門さんを思いながら食事をしました。こうして振り返ることが増えていくのですね…

 

それはそうと、まねきの写真はどう撮るのが正解なのかいまだにわからずにおります。

向かいの道に渡ってからのアングルが一番よいように思いましたが、ちょっと混み合っていたので角度が悪く、まねきの一部が隠れてしまいました。ごめんなさい…

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