三連休の真っ只中ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。今日が成人式という方もおいでかもしれませんね。おめでとうございます!
このすえひろはといえば、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が今夜から始まったことに大変ワクワクしております。人物相関図を見ますと工藤祐経やら源義経やら、歌舞伎で馴染みのあるお名前ばかりです。
特にお馴染みの義経は、梅玉さんではなく菅田将暉さんということで、歌舞伎とは全く違った味わいが楽しめそうですね。歌舞伎を見すぎて頭の中でごちゃごちゃしている時代の流れや人間関係をおさらいすることもできそうなので、より芝居が楽しくなりそうです。
さて先日のお話ですが、歌舞伎座へ出かけまして壽初春大歌舞伎の第三部を拝見してまいりました。備忘録として少しばかり感想をしたためておきたいと思います。
2022年の初芝居!
第三部は「岩戸の景清」「義経千本桜 川連法眼館(四の切)」という狂言立てです。
岩戸の景清は「難有浅草開景清」との名題がつけられているとおり、新春浅草歌舞伎でご活躍のはずであった松也さん率いる若手花形の方々がご出演の一幕であります。
悪七兵衛景清に松也さん、北条時政に巳之助さん、江間義時に種之介さん、和田義盛に隼人さん、千葉介常胤に莟玉さん、衣笠に米吉さん、朝日に新悟さん、秩父重忠に歌昇さんという配役でした。
新春浅草歌舞伎は華々しいだけでなくて、若手花形の方が大役の伝承を受け、約一カ月お客さんの前で勤め上げる場として、とてもとても大切な機会であったろうと思います。
それがこうして中止が続いてしまっているのは観客の一人としてもなにか焦燥感のようなものを感じてしまいますが、若手花形の方々がお正月の歌舞伎座で景清をお勤めになるというのはこの状況でなければなかなか難しいことかもしれず、大きなチャンスに応えるべくそれぞれの役に奮闘されている若手花形の皆様のお姿を拝見して、なんだかとてもうれしい気持ちになりました。
松也さんの景清は荒事の出で立ちと比べて足取りなど少し軽やかには感じられたものの、それでも数年前に浅草で拝見した曽我五郎から大きな変化があったのではないでしょうか。隈取が絵のようにお綺麗でしたね。六方の前にフッと入れた一呼吸が3階席まで聞こえてきて、おおおと胸が熱くなりました。来年こそは浅草の幕が開きますように。
そして「四の切」は猿之助さんの佐藤忠信・忠信実は源九郎狐、雀右衛門さんの静御前、門之助さんの義経、東蔵さんの川連法眼という配役です。
これが本当に隅々まで練り上げられた、それでいて練り上げられていることすら感じさせないような素晴らしい一幕で、夢中になって拝見いたしました。猿之助さんが源九郎狐の素性を打ち明けていく、その芝居を受けた雀右衛門さんの静御前の表情の変化もまた素晴らしかったです。
今回は生中継もありましたから、この舞台が多くの人の目に触れたんだろうと思いますととてもうれしくなります。素晴らしい舞台を見ると、できるだけたくさんの方と共有したいと感じますね。座席も増え、生中継もあり、うれしい尽くしでした。
そしてなんと歌舞伎座で久しぶりに「宙乗り」を拝見することができました!コロナ禍以降の歌舞伎座では初めてだと記憶しております!一歩一歩元の姿に戻っていくのがうれしいですね。感染対策などとても大変だと思いますが、我々観客を楽しませてくださる思いがうれしいです。
久しぶりに目の当たりにした宙乗りの高揚感は、たまらないものがありました。光のかたまりが近づいてくるようでした。猿之助さんが客席の上をノーマスクで飛ぶのかと思うと心配で、どうかご無事で千穐楽までお勤めになってほしいと願うばかりです。