強烈な寒波が襲来しているようですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
このすえひろはといえば、毎朝散歩で凍えております。寒すぎる日はよせばいいのですが、雨が降らないのでつい出かけてしまいます。在宅仕事ですから、少しは動かなければ芝居を見て感動するための体力が養われませんのでがんばります。
さて先日のお話ですが、歌舞伎座へ出かけまして二月大歌舞伎の第一部を拝見してまいりました。備忘録として少しばかり感想をしたためておきたいと思います。
鷹之資さんに釘づけに
第一部は「元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿」「石橋」という狂言立てです。
「元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿」は、徳川綱豊卿に梅玉さん、富森助右衛門に松緑さん、中臈お喜世に莟玉さん、新井勘解由に藤蔵さん、江島に魁春さんという配役でした。
御浜御殿といえば豊綱卿のセリフが大量にあるお芝居ですから、梅玉さんの素晴らしいセリフを聞き続けられるとあってもうそれはそれは耳が心地よく快感のひと時でした…。
佇まいからして高貴な梅玉さんの豊綱卿に食らいつく松緑さんの助右衛門から七段目の平右衛門のいう「小心者」の悲哀がにじみ出ていて、良いコントラストでした。この芝居は正直なところそれほど好きではなかったのですが、豊綱卿の思い、助右衛門の思いがスッと入ってきて、ああこんなにおもしろい芝居だったのだなあ!と思いました。
これまでも素晴らしい配役でこの芝居を見てきましたから、これまでの舞台が良くなかったのでは決してありません。いろいろな条件が揃って今、自分の中におもしろさを知るタイミングがやって来たのだと思います。
こうして素晴らしい舞台に出会い、登場人物の思いが腑に落ちる瞬間には何物にも代えがたいよろこびを感じます。おもしろいかおもしろくないかは、つまるところ自分自身の無知や咀嚼の甘さ、感じ方の鈍さであって、一度で簡単に判断して自ら世界を狭めてはいけないなとつくづく思います。今後も精進します。
続く「石橋」は、錦之助さん、鷹之資さん、左近さんのご共演でした。錦之助さんの獅子は清涼感いっぱいでありながらも大きく、左近さんも若々しく生き生きとされていて、大変ワクワクしました。
そんななかでも目を奪われてしまったのはやはり鷹之資さんであります…!変な表現ですが獅子の毛がまるで地毛かのような自然さで、清涼山にいる獅子のようすがありありと浮かんできました。
どうやら自分は鷹之資さんが好きなようです。いつも目を奪われてしまいます。衣装にも鬘にも負けないバランスが素晴らしくて、動くフィギュアが欲しいくらいです。今後のご活躍が楽しみです。
今回は初日に近い平日に出かけたためか、三階席の入りは少し寂しい状況でした…。オミクロン株の影響もあるかもしれませんね。第一部は見ごたえがあり味わい深い素敵な時間でしたので、千穐楽につれてもっともっと客席がにぎわうことを願っています。