歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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国立劇場 3月歌舞伎公演「近江源氏先陣館-盛綱陣屋-」を見てきました!2022年

東京ではすっかり春本番の陽気ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

このすえひろはといえば、近ごろはAmazon Prime Videoなどで漫才を聞くことにハマっております。ここ数年、義太夫狂言を味わい尽くすため上方の文化の理解を深めるべく努力してまいりましたが、生きた関西弁のヒアリングの訓練には、漫才が最適なのではないかと天啓を得たためです。暗い世の中ですが、日々の漫才のおかげで明るい気持ちで過ごすことができます。願わくば生で拝見してみたいところです。

さて先日のお話ですが、国立劇場へ出かけまして3月歌舞伎公演を拝見してまいりました。備忘録として少しばかり感想をしたためておきたいと思います。

菊之助さん初役の盛綱

3月歌舞伎公演の「近江源氏先陣館-盛綱陣屋-」は、菊之助さんが吉右衛門さんゆかりの盛綱を初役でお勤めになる記念の舞台です。小四郎を吉右衛門さんのお孫さんの丑之助さんが立派にお勤めになり、吉右衛門さんがご覧になったらどれほど喜ばれただろうかと思わずにはいられませんでした。そのほかの主な配役は、高綱妻篝火に梅枝さん、盛綱妻早瀬に莟玉さん、小三郎に梅枝さんご子息の小川大晴さん、和田兵衛秀盛に又五郎さん、微妙に吉弥さんというものでした。

 

本当に隅々まで美しい舞台でした…。約2時間の上演時間、夢中で拝見しました。

菊之助さんの盛綱は、声の抑揚や表情、首のちょっとした角度にいたるまで、菊之助さんが吉右衛門さんの盛綱をつぶさにご覧になっていたことが伺い知れるようなもので、菊之助さんの伝承への思いを感じ、胸が熱くなりました。この芸が丑之助さんまで伝わること、大きな希望です。芸の伝承は血縁だけの話では決してないと改めて思い知らされ、今後も菊之助さんの芝居を大切に拝見したいと思いました。

又五郎さんの和田兵衛も、菊之助さんの盛綱を導くような大きさで、強く印象に残りました。盛綱と高綱を慮る懐の深さ、カッコよかったです。

 

先月、仁左衛門さんの知盛の際にも同じようなことがあったのですが、今月も菊之助さんの盛綱と吉弥さんの微妙から、吉右衛門さんや秀太郎さんの姿が見え、お声が聞こえてくるような体験をしました。

これまで、役者さんの芸は命が失われてしまえばもう目の前から消えてしまうものだと思っていて、それは確かにそうなのですが、もしかして皆さんの素晴らしい芸は自分の体に沁み込んでいるのではないか…?と感じています。

そう思うと、これまで劇場で過ごしてきた時間が何よりも大切なものに思えました。ぼんやりの私ですが、あの時間は決して無駄ではなかったのだなと。この記憶がいつまで続くのかわかりませんが、どうか生涯残っていてほしいと思います。

 

今回の公演は、萬太郎さんによる内容解説のパートがあり、内容がよりわかりやすくなっています。大河ドラマ「真田丸」のテーマソングが使用されていてワクワクしながらわかりやすく拝見しました。

そういえば昨年も、明智光秀を主人公とする『時今也桔梗旗揚』が上演され「麒麟が来る」のテーマソングが使用されていましたね。となると来年の3月は「鎌倉殿の13人」ゆかりの源平ものなのでしょうか…!想定されうる演目がいくつもあり楽しみです。

 

また、筋書に封入された当たり券で菊之助さんのサイン入りブロマイドが当たるという太っ腹な企画が行われています。なんだか妙な自信があり、当たるに違いないと根拠なく確信しておりましたが、このすえひろは残念ながら惨敗しました…。。

菊之助さんといえば現在、朝の連続テレビ小説「カムカムエブリバディ」の時代劇スターモモケンのイメージが鮮烈なので、モモケンファンのひなたちゃんのような気持ちになりました。今思えば、コツコツ型とはいえないタイプのひなたちゃんが唯一、コツコツと続けていたのがモモケンのサイン会のためのビン拾いでしたね。推しへの思いは時に恋をも超えるんだなあと感動しました。推しは命そのものですものね。

筋書を購入なさった方は、当たり券がないかくまなくチェックなさってくださいませ。夜公演は抽選の方式が違うそうですのでこちらも要チェックです!

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