歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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念願の仁左衛門さんの三味線を聞いて…

早くも5月がやってきましたね。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

このすえひろはといえば、本日の「鎌倉殿の13人」がとても悲しく、しょんぼりしております…毎週つらいことが起こりますね…。染五郎さんの麗しさをテレビの画面で拝見できたことはとても幸せでした。もうとにかく綺麗なお顔で…。

そして曾我兄弟らしき子供たちの姿が見え、思わず声が出てしまいました!浮世絵で見る子供の頃の曽我兄弟が実写化されていることに興奮し、ワクワクいたしました。今後、仇討ちの描写もあるのでしょうか…。坪倉さんの祐経はおもしろくて好きなのでその仇討ちを楽しみにしているというのもおかしいですが、楽しみにしております。

念願の仁左衛門さんの三味線を聞いて…

それはそうと昨日、お声掛けいただきまして国立劇場で催された長唄三味線方の三世今藤長十郎 三十七回忌追善 今藤会に参りました!日頃歌舞伎の舞台は拝見していても、演奏家の方々の演奏をじっくりと聞く機会はなかなかないので、長唄の華やかさ、カッコよさを堪能し、耳がとても喜んでいるのを感じました。

 

今回はゲストとして幸四郎さんが小鼓を、仁左衛門さんが三味線を、白鸚さんが素踊りを披露され、客席も大変にぎわっていました。

仁左衛門さんが三味線をお弾きになることは存じ上げておりましたが、これまで生で拝聴する機会に恵まれず、おととしの大阪松竹座の「三味線やくざ」が中止となってしまったため、長年の念願がようやく叶いました。

 

三味線を構えた仁左衛門さんのお姿の素敵さには、それはそれは大変ときめきました…。久しぶりに素顔を拝見できて感無量なうえ、お綺麗な手に三味線、すらりとされて絵のようでした…。

これだけでも眼福の極地であったのですが、それだけでは終わりませんで、ソロのような部分で仁左衛門さんが少しお間違えになったのですね。

すると、見たこともないようなお顔であちゃーとのけぞられたり、ありゃりゃと首をかしげられたり。幕切れにはてへへと頭をかいてらして…

 

なんだかもう、失礼な物言いながら、あまりにも可愛らしすぎて…どうにかなりそうでした。んんぎゃわいーッ!と心の中で絶叫しました。

客席のご婦人方からも声にならない声が漏れ聞こえていましたし、私もそのような声を上げていたと思います。圧倒的カッコいいの後に破壊的可愛いが怒涛のように押し寄せるというのはもう、反則技です。見事にKOでした。

 

そんなご様子を拝見して、昨年「連獅子」の千穐楽で毛振りが絡まってしまった際のことを思い出しました。お疲れであろうところをカーテンコールにお出ましになり、手で頭をかいて、てへへとはにかんだ微笑みを浮かべていらしたのです。

たとえどんなに失敗をなさっても、つーんとしていて許されるお立場だと思うのですが、こうした時にふわっと空気をゆるめて可愛らしいお顔を見せてくださるところが、たまらなく素敵だなあと思います。愛される力が偉大です。いつの日か私もそのような人になれるよう、精進したいと思いました。

 

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