なにやら近く台風が接近する見込みのようですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。今年こそ災害の少ない一年であるようにと願っております。みなさまもくれぐれもお気をつけくださいませ。
このすえひろはといえば、ブログが先月で丸9年を迎えていたことに気が付き、驚いております。近ごろはたくさんの方にお読みいただき、ありがたい限りです。今後ともよろしくお願いいたします。
9年の間にインターネットの環境は様変わりしました。近年も相変わらず、あらゆる甘い誘いが世の中にあふれているように思います。成功ノウハウなどを高値で提供しようとする方もおられるようですが、インターネットビジネスで生活できるというのはごくごく一握りの方々のことだと思いますし、その実態も本当のところはわかりません。何卒お気をつけください。
昨日、三代豊国の「大芝居繁栄之図」をご紹介いたしました。そのついでといっては何ですが、大好きな浮世絵をミネアポリス美術館のパブリックドメインコレクションの中から発見いたしましたので、併せてご紹介したいと思います。
イケメンすぎる歌舞妓堂艶鏡の梅王丸
みなさま歌舞妓堂艶鏡(かぶきどうえんきょう)なる浮世絵師はご存知でしょうか?
東洲斎写楽のように、寛政年間の数か月にごくわずかな作品だけを残している謎の絵師です。歌舞伎狂言の作者の二代目中村重助なのではないかと考えられているようです。
この絵師の絵のタッチが非常に好きで、特に三代目八百蔵の梅王丸が圧倒的イケメンですのでぜひご覧ください。私の推しです。
ミネアポリス美術館
寛政8年(1796)都座の「菅原伝授手習鑑」より三代目八百蔵の梅王丸
鬢や衣装の描写はかなりシンプルで技巧派の絵師ではないことはわかるのですが、眼差しの魅力が圧倒的で、三代目八百蔵に惚れざるを得ません。どうしても技巧に注目が集まるものですけれども、この梅王丸を見ると、役者絵はこうであるべきとすら思います。
三代目八百蔵はあらゆる屋号・名跡を渡り歩いている、興味深い役者です。弟が父の名跡を継いで人気役者となった三代目澤村宗十郎であるというのが何かにおいます。いろいろな苦労があったのか、ひと所にとどまれない役者であったのか、空想が尽きません。
この菅原伝授手習鑑のシリーズには松王丸・桜丸もいますので、併せてご紹介いたします。
ミネアポリス美術館
寛政8年(1796)都座の「菅原伝授手習鑑」より二代目中村仲蔵の松王丸
この方は、あの有名な写楽の「三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛」の三代目鬼次です。両手のひらを広げたポーズの絵ですね。実は寛政8年秋には亡くなってしまうので、これは二代目仲蔵を名乗っていたわずかな間の姿です。顔つきをよく見ると、「三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛」と同一人物であることがわかります。
ミネアポリス美術館
寛政8年(1796)都座の「菅原伝授手習鑑」より二代目中村のしほの桜丸
二代目のしほは、京大坂から江戸にやってきた人気の若女形でした。ぽっちゃりとしてかわいらしいですね。
参考:朝日歴史人物事典/アダチ版画