歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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歌舞伎座 七月大歌舞伎 第二部「夏祭浪花鑑・雪月花三景」を見てきました!2022年7月

来る日も来る日も暑い日ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。熱中症には何卒お気をつけくださいませ。

このすえひろはといえば、先日静岡県へ出かけまして、鶴澤藤蔵さんの演奏会を拝聴してまいりました。音楽ホールの音響で聞く太棹三味線はとにかく格別であり、始終興奮しきりでありました…。また静岡駅は初めて降り立ちましたが、お魚の美味しさが感動的でした。駅であれほど美味しいのですから、海辺はどうなってしまうのでしょうか。お住まいの方がうらやましい限りです。

さて先日のお話ですが、歌舞伎座へ出かけまして七月大歌舞伎の第二部を拝見してまいりました!備忘録として少しばかり感想をしたためておきたいと思います。

左團次さんの釣舟三婦に大歓喜

第二部は「夏祭浪花鑑」「新歌舞伎十八番の内 雪月花三景」という狂言立てでした。

夏祭浪花鑑」の主な配役は、海老蔵さんの団七九郎兵衛、右團次さんの一寸徳兵衛、雀右衛門さんのお辰、左團次さんの釣舟三婦というものです。

海老蔵さんは襲名間近ということで、慣れ親しんだ海老蔵のお名前で拝見できるのもあとわずかなのだなあと、一抹の寂しさを感じながらの見物でした。三階席で拝見したこともあってか、セリフが聞き取りにくい箇所がちらほらあったのが残念でしたが、舅殺しの場面ではビジュアルの魅力が炸裂して凄みが際立ち、動く錦絵を見るようでした。

海老蔵さんは「華がある」という一言では表現しきれない魅力もお持ちのように思います。荒事の底抜けな華とはまた違った、暗闇でこそ光り輝く危うげな華と言えばよいでしょうか。来たる團十郎襲名が楽しみです。

 

出演時間の多い釣舟三婦を、大好きな左團次さんがお勤めになっていたのがとてもうれしかったです!ふんどしを外すくだりはおかしみに溢れ、若者を蹴散らすさまはとにかくカッコよく、いつにも増してお元気なごようすを拝見し安心いたしました。團十郎襲名でのたくさん拝見できるでしょうか。楽しみです。

また雀右衛門さんのお辰も素敵でした。「こちの人の好くのはここじゃない、ここでござんす」が柔らかみを持って聞こえてきて、パリッとしたお辰さんとはまた違ったカッコよさがありました。懐の深い感じと申せばよいでしょうか。こんなお辰さんに惚れる徳兵衛の気持ちがわかります。

 

続く「新歌舞伎十八番の内 雪月花三景」は、九代目團十郎ゆかりの演目。海老蔵さんと勸玄さんぼたんさんそろい踏みの舞踊劇でした。勸玄さんぼたんさん、おふたりとも立派にお勤めになっていました。特にぼたんさんは昭和の少女漫画から飛び出してきたような見目麗しさと、体幹の強さに圧倒されました。福助さんのお声が聞けたのもうれしかったです。途中から筋立てを見失い、儀式のような幻想世界に突入して、あれよあれよという間に幕となりました。眼福でした。

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