近ごろは朝晩冷えますね。皆様いかがお過ごしでしょうか。
本日は歌舞伎と全く関係のない個人的な事柄になり大変恐れ入りますが、この機会に少しばかりお話させていただきたく筆を執っております。
日頃歌舞伎のことばかりお話しているわたくし芳川末廣は、実は、長らく脚本家を志しております。大学では映像を学び、卒業してしばらくの後はスクールに通い、現在は独力にて創作活動を続けています。
日本放送作家協会とNHKの共催による「創作テレビドラマ大賞」というコンクールがあります。映像ドラマの脚本家の新人発掘・育成を目的とする登竜門のひとつで、受賞者の作品がNHKドラマとして実際に映像化・放送されるというものです。
この度、「第47回創作テレビドラマ大賞」において、わたくし芳川末廣の脚本「街の果てには」を、最終選考の10本に残していただきました。
しかし力及ばず、受賞はかないませんでした。公式サイトの情報は月日が経つといずれ流れて跡形もなく消えてしまいますので、記念に画像を貼らせてください。
受賞者の方々は本当におめでとうございます!!!映像化を楽しみしております。
「街の果てには」という作品は、嫁姑で切り盛りする商店街のパン屋さんが、店じまいをする物語です。
実際は全く違うものにはなりましたが、仮名手本忠臣蔵の九段目 戸名瀬と小浪の関係がモチーフの一つとなっています。血のつながらない家族が思いあう姿は、現代の多様な家族観にも通ずるものがあると感じたためです。
そのお話をしたところ、脚本を読んでいただいた身近な方々に「古典(歌舞伎)を知っているのは強み」とおっしゃっていただきました。そうなのでしょうか。自分にとってはあまりにも当たり前になっていて、いまひとつ実感が湧きません。
しかし、日ごろ味わっているものがいつの間にか心の奥深くに根付き、世界を見る目を変えているということはあるかもしれません。それだけの力が歌舞伎にはあると思います。大好きな歌舞伎が自分の一部になっていると思うとうれしいです。
現代においても歌舞伎の舞台を守り伝える方々、素晴らしい物語を練り上げられた各時代の先人たちに、心から感謝いたします。ありがとうございます。
今後も歌舞伎や浄瑠璃のおもしろさに学び、役者・俳優という職業への敬意を忘れず、コツコツと創作に励んでまいる所存です。いつの日か作品を通じ、何らかの形で古典の魅力をお伝えすることができるよう、精一杯努めてまいります。何卒よろしくお願いいたします。