歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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本日千穐楽!二月大歌舞伎  2023年2月

本日25日は歌舞伎座で上演されていた二月大歌舞伎の千穐楽でしたね!おめでとうございます!

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一世一代の霊験亀山鉾

本日はこのすえひろも歌舞伎座へ出かけまして、第二部「船弁慶」と第三部「通し狂言 霊験亀山鉾」を拝見してまいりました。

仁左衛門さん一世一代の通し狂言 霊験亀山鉾では、幕切れ後もしばらく拍手が鳴りやまず。一階で拝見していると本当に、拍手の音が雨になってうわーっと降ってくるような体験でした。

カーテンコールで再びお出ましになった仁左衛門さんは、両手を合わせて客席を拝むようにされていましたね。直前まで極悪人の藤田水右衛門であったのが、仁左衛門さんに戻ってニコニコとされているのを拝見して、ホッとしました。今日までどれほどご無理を重ねたか図り知れず、ああ本当にご無事でこの日をお迎えになってよかった…と感じ入った次第です。

 

今日は二部の船弁慶でも花道の引っ込みが終わってからしばらく拍手が鳴り止まず、歌舞伎座じゅうが大熱狂に包まれていました。

こちらは再びのお出ましを待っているというより、舞台の世界にひたすら圧倒されてしまってどうにもその場から立ち去りがたい、余韻を噛み締めたいという空気感だったように思います。その空気を生み出すというのは、並大抵のことではありません。私自身歌舞伎座でも数えるほどしか体験したことのない空気です。

まるで知盛の亡霊が波濤とともに消えていった大物浦の海にポーンと放り出されたようで、今っていつどこでしたっけ、源平の世でしたっけ…というような気持ちでフラフラと歌舞伎座を出ました。あまりにも没入感がありすぎて、VRだったのかしらと。これから鷹之資さんの船弁慶がどんどん深まっていくのを拝見できるのか思いますとあまりのことに震えます。

 

いやはや、感想がとめどなくあふれてしまい、本日中にまとめられそうにありません。月末も近いですので、その際に改めて感想をお話したいと思います。

とにもかくにも、仁左衛門さんの一世一代の「霊験亀山鉾」が千穐楽まで無事に上演され、悪役の真骨頂を存分に堪能でき、しあわせを噛みしめております。千穐楽本当におめでとうございます。

 

絵本合法衢に続いてこの霊験亀山鉾も一世一代ということは、今後仁左衛門さんによる南北の異常な悪役を拝見できる機会がかなり減ってしまったことになり、本当にさびしく思います。おもちゃのように人を殺す仁左衛門さんを拝見したいとき、一体どうしたらよいのでしょうか。

しかしながら、国立劇場や大阪松竹座で上演されていた舞台が、歌舞伎座の映像として残されることになったのは幸運でした。何らかの形で拝見できる日を心待ちにしております。

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