歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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銀座和光で開催中の吉右衛門さんの写真展に

今日はホワイトデーですね。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

ホワイトデーといえばやはり仁左衛門さんのお誕生日です。おめでとうございます!

このすえひろも今日は方々の友人に連絡して「仁左衛門さんが79歳になられた」とふれてまわりたいところでしたが、ぐっとこらえました。

二月の舞台を思い出しますと、来年で傘寿をお迎えになるとは到底思えない瑞々しさでしたね。一体どうなっているのでしょう。

人一倍テロメアが長いですとか、何か特別な細胞をお持ちなのではないでしょうか。研究機関にお願いして、秘訣を確かめていただきたいくらいです。

このままいつまでもいつまでも、お元気な姿を拝見できますように。切に願っております。

鍋島徳恭写真展 -二代目 中村吉右衛門-

それはさておき。

先日、銀座の和光6階で開催中の「鍋島徳恭写真展 -二代目 中村吉右衛門-」を拝見してまいりました。

 

タイトルの通り、写真家の鍋島徳恭さんによる吉右衛門さんの貴重な写真の数々が展示されています。平成18年から吉右衛門さんがご出演になった公演のほぼすべてをカメラに収めてこられた方です。

 

過去にも展覧会が開催されていましたが、今回は以前よりも小さいサイズでの展示で、額装販売も行われているようでした。

ご興味をお持ちの方はこちらに。会期は3月21日(火)(最終日は17:00まで)までです。www.wako.co.jp

吉右衛門さんを愛する親しい人を誘ったものの、まだこの展示空間に滞在するのは難しそうだという雰囲気を察知しまして、一人で出かけたのです。

しかし展示エリアに足を踏み入れ、私もまだだったんだとすぐに思いました。

 

鍋島さんの「ありのままをすべて記録したい」という言葉の通り、写真の中の吉右衛門さんの舞台の数々が記憶の中に蘇って、声まで聞こえてくるようで。

歩みが止まり、足がその場から動かなくなってしまうような箇所も、いくつもありました。

この満足感がもう永遠に味わえないなんて、嘘だろうと。

 

自分でも自覚していた以上の巨大な喪失感に飲み込まれてしまったんですね。

展示空間でいきいきと舞台を思い出すことができ、懐かしかった、幸せだった、という思いに至ることがまだできていません。もっと冷静に写真を拝見できると思っていたのですが。

 

私でさえこうなのですから、ファンの方々のつらさは計り知れないものがあります。

推し活という言葉が一般的になりましたから、ファンのグリーフケアについても何らかのサポートがあったらなと思いました。

なかなか理解されないものかもしれませんが、家族でない、親戚ですらない者にとっても、深い痛みがありますよね。

日にち薬というのは本当なんでしょうか。効き目が早く来てほしいところです。

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