歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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本日千穐楽!鳳凰祭四月大歌舞伎 2023年4月

本日27日は歌舞伎座で上演されていた鳳凰祭四月大歌舞伎の千穐楽でしたね!おめでとうございます!

陶酔の千穐楽

本日はこのすえひろも歌舞伎座へ出かけまして、間近で拝見してまいりました。

仁左衛門さんと玉三郎さんのお二人と、同じ時代を生きていることの幸せをつくづく噛みしめる夢のようなひととき、まさに陶酔といった時間でした…。

木更津海岸見染の場でいつまでもいつまでも互いの姿を追い続けるさまの美しさ、赤間別荘の場での阿吽の呼吸の美しさ、源氏店の場でお富が煙管をカンとひとつ打ってから「御新造さんえ…」と続いていく流れるような美しさ、全てが絵のように思い出されます。。

与話情浮名横櫛は決して涙したりするような芝居ではないと思うのですが、生涯一度誰かに骨身まで恋する人生の美しさに深く感じ入り、胸がグッと熱くなりました。自分の半身のようなただ一人の他人に、どこかでふとめぐり合うという人生の美しさ。これはお二人の間に漂う空気感からでしか味わえないものであろうと思います。

長い人生のうちほんの2時間弱ですが、本当に今この時ここで生きていてよかった、それだけでも充分幸せな人生だったとつくづく思うひと時でした。大袈裟ですが本気です。

 

続く松緑さん左近さんの連獅子も素晴らしかったです…。幕切れの毛振りの迫力というのは言わずもがな、前シテの舞踊の気迫に感動しました。全ての瞬間が静止画のように上品に整えられ、お二人がそれぞれにこうあるべきという形をひたむきに目指し続けているように見えました。

そんな緊張感みなぎる舞踊を拝見していると、いつもよりも三味線の一音一音、太鼓、鼓、笛の音がひとつひとつ粒だって聞こえてきたように感じられ、言葉・音・動きのすべてが関連して呼応しあう、邦楽と日本舞踊のおもしろさを改めて実感しました。

 

いやはや、とにかく素晴らしい千穐楽でした…余韻で胸がいっぱいです。

今日は仁左衛門さんが令和初の園遊会に招待されたとのニュースを知り、ファンの端くれながら大変喜ばしく思います。とはいえ六月もいがみの権太があり、七月も大阪松竹座があり、本当に激務の日々であろうとお察しします。

今月も休演を経ての完走、相当にご無理をなさったのだろうなと余計な心配が募り、心がざわざわしてしまいますが、舞台で見せてくださるお姿がすべてだと言い聞かせて落ち着けています。命を削るような舞台を心から心配しながらも、上演予定があれば楽しみにせずにはいられない、矛盾した欲求はファンの業だなと。うれしいような、心苦しいような、何とも表現しがたい思いで胸が詰まります。

なんだか何を言いたいのか話がまとまりませんが、とにかく千穐楽まで素晴らしい、珠玉の舞台を見せてくださったことへの感謝の思いでいっぱいです。いつまでもお元気なお姿を拝見できますように。

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