とうとうゴールデンウィークも終わってしまいましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
このすえひろはといえば、日ごろからカレンダーとはあまり関係のない働き方をしておりましてゴールデンウィークらしいことは特に何もしなかったのですが、会社員の友人と平日に会えたことで祝日のうれしさを感じました。
今週からは街のにぎわいも少し落ち着きますので、お出かけしやすくなりますね。ちょうど今週の木曜日11日から国立劇場小劇場で上演が始まる令和5年5月文楽公演が見逃せない内容です!
現時点ではまだチケットが購入できますので、迷っておいでの方にはぜひにとおすすめしたく筆をとっております。
通し狂言 菅原伝授手習鑑!5月は前半
5月の文楽公演は通し狂言 菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
菅原伝授手習鑑といえば、「菅原道真の大宰府左遷」と「三つ子ちゃん誕生のニュース」という一見かけ離れた要素を大胆に組み合わせ、親子の別れなどの悲劇をさまざまに描き出した江戸よりの大ヒット作。
歌舞伎としても三大狂言の一つに数えられる名作中の名作として知られていますが、その原作といえるのが人形浄瑠璃 文楽の菅原伝授手習鑑です。
5月公演では前半にあたる初段 大内の段から、二段目 丞相名残の段までが上演されます。(後半にあたる三段目から五段目は9月に上演)
歌舞伎の菅原伝授手習鑑では、のちに天神様として崇められる菅丞相(菅原道真)の神々しさを人間である役者さんが演じるかというのが眼目になるのですが、そういったところが文楽のお人形ではどのように見え、音はどのように聞こえるのかというのも気になりますね。
今回上演される初段・二段目は、歌舞伎でいうと加茂堤・筆法伝授・道明寺などの名称で上演されている場面です。これらは実は歌舞伎の舞台用に少しずつ編集されていたり、細部が変更されているんですね。
原作である文楽の舞台では、歌舞伎の舞台で上演されない場面も含まれていますので、お芝居の内容への理解が一層深まったり、実はこんなことがあったんだ!という驚きがあります。また、役者さんが歌舞伎の舞台で表現しようとしているもの、目指している境地が垣間見えることもあり、奥深さを感じられます。
私は、意外と笑えるシーンやツッコみたくなるほどパンチの強いシーンがあったりするところが好きで、大坂生まれの芸能ならではの軽やかなユーモアを感じます。義太夫というと悲劇ばかりのイメージがあるかもしれませんが、実は笑いの要素が散りばめられているというのは興味深いですし、観客としても救われる思いがします。
菅原伝授手習鑑も悲劇のイメージが強い演目ですから、実はどんなシーンで構成されていたのかを知るのはおもしろそうです。私も非常に楽しみにしております。
文楽公演も歌舞伎公演と同様、国立劇場チケットセンターから購入可能です。日によっては2等席も残っていますが、お人形の細部を見たり義太夫節の演奏を堪能するにはやはり1等席がおすすめです。学生の方には学割もあります。
国立劇場が秋に閉場されますと、その先の東京での文楽公演は別の劇場で上演されるものと思いますが、どのような場所で上演されるのか、その座席数などもまだわかりません。現在よりもチケットが取りづらくなってしまう可能性も考えられますし、国立劇場小劇場は邦楽演奏を聞くのに非常に良い環境ですので、この機会にぜひにとおすすめいたします!