五月も今日でおわり。連日の報道もあってか、今月はやけに体感時間が長かったように思います。
こんなことって起こるのだなと。どのように受け止めたら良いのか全くわからないつらい状況のなか、心身のバランスを崩されている方もおいでかと想像します。正解の出ない問いを抱えながら日常生活を送るというのは非常に苦しいですね。
長らくご覧になってきた方、また近ごろ興味を持たれた方、それぞれに計り知れぬ痛みをお持ちのことと思います。
ご復帰を願い、思い続けるのももちろんですし、時には報道やインターネット、あるいは歌舞伎そのものから少し距離を置くのも選択肢の一つかと思います。どうぞご無理なさらないでください。
私は歌舞伎というジャンルに限らず「ある生身の人間の精進鍛錬に対して、大衆が期待を寄せたり救いを見出したりして偶像化し、相応の対価を支払う」という構図そのものに興味関心があり、長らく過ごしてまいりました。
その構図がもたらす負の側面を、最もつらい形で目の当たりにしているようで、私自身も非常にダメージを受けています。
生涯かけて芸事に邁進する、それだけで十分に美しかったことが、社会の中で形を変え、失われしまうかもしれないというのは本当に悲しいです。
明らかになっていることが少なすぎて何とも申せませんが、ひとまず来月の六月大歌舞伎の幕は開き、壱太郎さんが代役をお勤めになることが発表されていますね。
表舞台に立つ方、裏側で支える方、全ての方々の努力が報われ、どうか良い舞台になりますようにと祈っております。
来月はどんな芝居が待っているでしょうか。
より良い未来を願い、今日は休みたいと思います。おやすみなさいませ。