歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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【あす14日】歌舞伎座・秀山祭九月大歌舞伎 チケット一般発売! 2023年

あす14日(月)は9月の歌舞伎座公演

歌舞伎座新開場十周年二世
中村吉右衛門三回忌追善

秀山祭九月大歌舞伎のチケット一般発売日です!

秀山祭は、初代吉右衛門の芸を顕彰するため毎年九月に開催されてきた公演です。今回は2021年にこの世を去られた吉右衛門さんの三回忌追善として上演されます。喪失感が埋まるはずもない状況のなかで三回忌というのは、過行く時間の残酷さを実感するようです。

近ごろ歌舞伎にご興味を持たれた方の中には、吉右衛門さんがご健在の頃のお芝居をご覧になっていない方も大勢おいでの事と思います。例年秀山祭には名作演目が揃いますので、初めての方や歌舞伎を見始めたばかりの方にこそおすすめしたい公演です。チケットはお早目の確保をおすすめいたします。

公演の詳細

www.kabuki-bito.jp

一般発売日

8月14日(月)10:00~

【チケットWeb松竹】

会期・上演時間

2023年9月2日(土)~25日(月)

昼の部 11:00~
夜の部 16:30~
休演日:11日(月)、19日(火)

チケット料金

一等席        18,000円
二等席   14,000円
3階A席     6,000円
3階B席      4,000円
1階桟敷席  20,000円

六月大歌舞伎から、一部事前予約制の一幕見席が復活しています。お手頃な3階席のチケットは早めに埋まってしまいますが、幕見席があればチャンスが大きく広がりますね。このすえひろもさっそく六月に出かけてまいりましたが、とても便利でありがたいシステムだなとつくづく思いました。未体験の方はぜひお試しくださいませ。

おすすめのポイント

秀山祭九月大歌舞伎は、初代吉右衛門の芸を顕彰するため例年九月に上演されてきた公演です。今年は、2021年にこの世を去られた二代目吉右衛門の三回忌追善として、ゆかりの方々が勢ぞろいしています。勘九郎さんがご出演になるというのも熱いですね。

圧倒的名優であった吉右衛門さんの舞台の素晴らしさを同じように再び味わうのは難しいことですが、その頂を目指す方々の姿を見て思いを馳せるのもまた素晴らしい時間ではないでしょうか。

夜の部では、吉右衛門さんのお孫さんの丑之助さんが、御父上の菊之助さんとともに歌舞伎舞踊の名作「連獅子」をお勤めになり、話題を呼びそうです。吉右衛門さんと丑之助さんの連獅子が実現していたらなあとつい夢想して寂しくなってしまいますが、今のご年齢での連獅子は当然今しか見られませんから、ぜひにとおすすめいたします。

 

各部の内容と見どころを簡単にご紹介いたします。

昼の部は「祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)金閣寺」と「新古演劇十種の内 土蜘(つちぐも)」「秀山十種の内 二條城の清正」の三本立て。

金閣寺」は、ざっくりいえば桜花爛漫の金閣寺で縛り付けられた美女・雪姫が奇跡を起こして大ピンチを切り抜けるという、大変耽美な名場面です。今回は女形の大役とされる雪姫を若手の米吉さんと児太郎さんが配役替わりでお勤めになります。

初めて見る場合は謎な部分が数々あるかと思いますが、とにかく美しく、目で楽しむだけでも充分満足できる演目です。また、現代の大河ドラマ等のイメージとは少し違うシュッとしたカッコいい秀吉が登場するというのもポイントです。今回は勘九郎さんがお勤めです。

続く「土蜘」は、有名な伝説「源頼光の土蜘退治」を題材とした舞踊劇です。衣装や化粧、小道具でおそろしき蜘蛛の魔物を表現するビジュアルの演出に歌舞伎ならではの魅力が詰まっていて、理屈抜きに楽しめる演目であります。今回は蜘蛛の精を幸四郎さんがお勤めになります。

最後の「二條城の清正」は、名将加藤清正とその息子秀頼の情愛を描く名場面です。今回は清正を白鸚さん、秀頼を染五郎さんがお勤めになります。白鸚さんは近ごろ休演などもあり心配な状況でした。お元気なお姿が拝見できることを祈っております。

 

夜の部は「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)車引(くるまびき)」と「連獅子(れんじし)」「一本刀土俵入(いっぽんがたなどひょういり)」の三本立て。

車引」は、隈取とド派手な衣装の三つ子が大集合するという名場面です。ドラマらしいドラマはなく、とにかくスタイルを楽しむというのが眼目になっていますので、理屈抜きに楽しむことができます。今回は又五郎さんとご子息の歌昇さん種之助さんが共演されます。

続く「連獅子」は、歌舞伎と言えば多くの方がイメージされる演目ではないでしょうか。赤と白の長い毛を勢いよくぶんぶんと振り回すあの舞踊であります。親子の情愛を描くもので、菊之助さんと丑之助さんが親子共演でお勤めになります。

最後の「一本刀土俵入」は、おすもうさんを目指していた青年と、夜の世界を生きる女性のあたたかな心のやりとりを描くお芝居です。昭和期の演目のためセリフがわかりやすく、歌舞伎のセリフは聞き取りにくいのではないかと不安な方にも大変おすすめです。おすもうさん志望の青年を幸四郎さん、夜の世界を生きるお蔦を雀右衛門さんがお勤めになります。

このすえひろも大好きな芝居で、胸に沁みるような義理人情の物語がお好きな方には大変おすすめです。歌舞伎らしい派手な内容をお望みの方には物足りないかもしれませんが、「車引」「連獅子」がとにかくド派手ですので、濃さのバランスが大変良いと思います。

 

初めての方にはどちらの部も同じくらいおすすめなのですが、今回はやはり夜の部をおすすめしたいところです。ああ歌舞伎を見たなという満足感が大きく、内容的にもわかりやすい演目が揃っています。今後、丑之助さんが大きくなられたときに感慨深く思い出すことができるというのも、連綿と続いていく歌舞伎ならではの楽しみですね。ぜひにとおすすめいたします!

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