歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。 歌舞伎歴10年の20代。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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やさしい三人吉三 その五 ざっくりとしたあらすじ④

ただいま歌舞伎座で上演中の

芸術祭十月大歌舞伎

今月は見どころたっぷりの演目が揃っておりどこからお話すればよいやらというところです。

やはり昼の部「三人吉三」は名作中の名作ですのでこの機会にひとつお話しておきたいと思います。

これまでにこまごまとお話したもののまとめはこちらにございます。

もしよろしければご一読ください!

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ひとめで惚れあう二人が運命的な再会

三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)は、

1860年(安政7年)の1月に江戸は市村座にて初演されたお芝居であります。

 

和尚吉三・お坊吉三・お嬢吉三という三人の吉三郎が

とある因縁あって出会うことから付けられた題名で、

三人吉三(さんにんきちさ)」という通称で知られております。

江戸の市井の人々の暮らしの中にあるドラマを描いた

世話物というジャンルを代表する演目のひとつです。

 

今月上演されているわずか30分ほどの幕「大川端庚申塚の場」はいわばこの芝居の名場面。

といってもダイジェストではないため、じつは長く複雑に入り組んだ物語の発端にすぎない部分なのであります。

この後のことがわからなくともあの場面だけで歌舞伎らしい満足感は得られるのですが、

客席で拝見しておりますと周りの方々から、

この場面の続きが幕間を挟んだ次の幕なのかな?というお話も聞こえてきます。

 

せっかくですのでこの機会に非常にざっくりとではありますが物語全体の流れをお話してみたいと思います!

いろいろと前後したりはしょったりしてしまいますが、お手柔らかにお願いいたします。

大川端庚申塚の場の部分のあらすじ

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③までで最も上演頻度の高い「大川端庚申塚の場」が終わりましたので、

ここからは少しスピードアップいたしますね。

 

舞台は変わって、和尚吉三のお父さん・土左衛門伝吉(どざえもんでんきち)さんのおうちです。

土左衛門伝吉というのはなにやらすごい名前ですけれども、これにはわけがあります。

 

伝吉さんはかつて、あるお屋敷から短刀を盗むという密命を受けたことがありました。

その際にお腹に子供のいる雌の犬にギャンギャン!グルルル!などとほえたてられまして、

うわー!とその刀で犬を斬り殺してしまいました。

そして世にも恐ろしいことにそのすぐ後…

なんと、後妻さんが狂い死にをしてしまったのです…。

それ以来、こわいなこわいなーやだなやだなーと犬の祟りを恐れて、

川岸に流れ着く水死体を拾い上げては供養する活動をはじめたのでした。

そんなわけで土左衛門とあだ名されているのです。

 

さて、そんな伝吉さんが夜鷹をしている娘のおとせさんが

なかなか帰ってこないのを心配しているところへ、

きちんとした商人らしい八百屋久兵衛さんが、おとせさんをつれてやってきます。

お嬢吉三が大川へ突き落としたのは殺人未遂であったというのはこういったわけです。

八百屋九兵衛さんのおかげで、無事命は助かったのでした。

 

よかったよかったというところ、九兵衛さんは心配事があるようす。

なんでもかわいい息子十三郎を道具屋に奉公に出しているのだそうで、

お店のお金百両を持ったまま行方がわからないのだというのです。

 

それを聞いた伝吉さんはびっくり仰天です。

なぜならその十三郎くんを、すでに伝吉さんがこのおうちに連れて来ていたからです!

 

実は十三郎くんは誘われた夜鷹に惹かれてしまいちょっと遊んでいるうちに、

大切なお店の百両を失くしてしまっていたのです。これは相当マズいミスですね。

これはもう命で詫びるしかないと猛烈に思い悩み、いっそ川へ身投げしよう、えい!というところを

水死体拾いがライフワークの伝吉さんが助けていたのです。

 

帰宅したおとせさんと十三郎くんは、顔を合わせ、

あっ!あの時の!と驚き入ります。

カンのよい方はお気づきだと思いますが、

①でおとせさんが追いかけていた百両を落としたお客さんこそが十三郎くんだったのです。

 

最初からお互いになにか惹かれるものがあったふたりは再会を喜びあい、

恋仲になるのでした…が、この恋がまたいわくつきであります。

 

長くなりましたので、続きます!

 

参考文献:新版歌舞伎事典

新版 歌舞伎事典

新版 歌舞伎事典

 

今月の幕見席

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