ただいま歌舞伎座で上演中の芸術祭十月大歌舞伎!
夜の部「秋の色種」について、少しばかりお話いたします。
何らかのお役に立てればうれしく思います(人'v`*)
名曲を生んだ南部候の無茶ぶり
秋の色種(あきのいろくさ)は、歌舞伎舞踊というよりも
芸伎さんや舞妓さんがお座敷で披露する「お座敷長唄」の代表曲として知られています。
初演は1845年(弘化2)の12月、
盛岡藩主の南部候佐竹利済がお江戸は麻布不二見坂に建てた
立派な御屋敷の新築祝いとして披露させたのが始まりです。
当時の麻布はこの舞踊で描かれているような
美しい秋の景色が広がっていたようですよ(n´v`n)
この曲を作ったのは10世杵屋六左衛門。
南部候は彼の大切な大切な後援者でありました。
そんなお方の御屋敷の新築祝いですから、六左衛門にとっては大仕事であります。
南部候は名作曲者として名高い六左衛門に
「君、どんな歌詞でも作曲できるのかね?どうじゃどうじゃ」と問うてみました。
すると六左衛門はすぐに「ハハァ、御意の通り」と答えるではありませんか。
むむ、おもしろい。難題をふっかけてやろう…と南部候は
変態繽紛(へんたいひんぷん)として神なり又神なり
という菅原道真の著作の一節をアレンジして
「変態繽紛たり 神なり又神なり 新声婉転す」という歌詞を渡してみたのです。
変態繽紛(へんたいひんぷん)として神なり又神なり
という道真公の言葉はいわゆる「変態」のことではありません(*´艸`)
都の宴で舞を披露する舞妓たちの姿を見たとき
いろいろと姿を変えてたくさんの人が入り乱れ、ものすごく美しかったなぁ…
という感動を表現した言葉であります。
六左衛門ったらこの歌詞にどんな曲をつけるのかなぁ…さぞ難しかろうなぁ…(*´艸`)
とワクワクしていたところ
六左衛門はあっさりと、勇壮な大薩摩をつけて素晴らしい曲を作り出してしまったのでした!
そればかりでなく松虫の声をもとにした「虫の合方」や「琴の合方」など面白い趣向をたくさん盛り込んで
「秋の色種」を今に伝わるような名曲に仕上げたのであります。
すごいぞ六左衛門、あっぱれあっぱれ…というお話でありました(´▽`)