ただいま香川県は琴平町の金丸座で上演されている
第三十五回記念 四国こんぴら歌舞伎大芝居
第二部の「傾城反魂香」は、近年の上演頻度が比較的高い演目であり、
先日も歌舞伎座で上演されたばかりのため、すでにお話したものがいくつもございます。
今回初めてご覧になる方のお役に立てれば幸いです。
傾城反魂香の概要
こちらは作者と、名場面「土佐将監閑居」の通称についてお話した回です。
ごく簡単なあらすじ
こちらはごく簡単に「土佐将監閑居」のあらすじをお話したものであります。
いろいろと前後したり意訳していたりなどありますが、
流れを掴む程度…というように気楽にお読みいただけたらと思います。
又平が目指す「御用絵師」とはなにか?
素晴らしい絵の才能がありながら、生まれながらのハンディキャップのために
お土産ものとして売られる絵を描くことで暮らしている…というのが
この演目の主人公・浮世又平とおとく夫妻の大きな悲しみとして描かれています。
そんな又平が心の底からなりたいと願う「御用絵師」の仕事とは、
どれほど立派なものであったのかということをお話しております。
又平が描いている「大津絵」とはなにか?
江戸時代、人気のお土産ものとして売られていた絵を描いて暮らす又平とおとく夫婦。
この人気のお土産ものは「大津絵」と呼ばれています。
確かに立派なお屋敷の襖絵などに比べると大きな差のつくお仕事なのですが、
今では「大津絵」も貴重な文化財であります。
浮世絵とはまたちがう「大津絵」というしなものについてお話した回がこちらです。
日本画の流派「土佐派」「狩野派」
又平の師匠である絵師の土佐将監は、名前にも冠しているように
「土佐派」と呼ばれる日本画の流派の絵師であります。
芝居の中にはもう一つの流派「狩野派」の狩野雅楽之助も登場します。
二つの流派にはいろいろと特徴がありますので、そちらについてお話いたしました。
又平に元ネタらしき絵師あり
主人公の浮世又平後に土佐又平光起には、
モデルといいますか、発想の出所とと思われる絵師がいます。
まず1人目は、又平が授かった名前そのままの土佐光起です。
人物像ではなくて名前そのものの取材元のようですが、
日本画の歴史を変えた偉大なる人物であります。
そしてもう一人が、まさしく「浮世又兵衛」と呼ばれていたという
奇想の絵師・岩佐又兵衛であります。
この方は世界中で高く評価され、西洋絵画の歴史をも動かした「浮世絵」の祖、
また大津絵の祖とも言われています。
非常にドラマチックな人生を歩まれた方で、まるで芝居のようです!
今回の傾城反魂香では扇雀さんと七之助さんが又平とおとく夫婦をお勤めになります。
夫婦の悲しみとよろこびを芝居小屋じゅうで一緒に体験するような、
あたたかな一幕となりそうですね!