5月の團十郎白猿襲名に向け「市川海老蔵特別公演」がスタートしています!
2020年1月31日(金)~3月1日(日)にかけ
御園座・南座・博多座といったおなじみの劇場から、
勧進帳ゆかりの地・石川県のこまつ芸術劇場うらら、金沢歌劇座まで
海老蔵さんが「勧進帳」の弁慶をお勤めになって巡ります。
巡業公演ですので、歌舞伎を初めてご覧になる方も大勢おいでのことと思います。
「勧進帳」は歌舞伎の代表的な演目のひとつではありますが、
様々なことが観客の想像力にゆだねられるつくりとなっていて、
一見すると何が起きているのかのかわかりにくい部分も多い演目です。
そのため、ざっと内容を把握しておきますとより楽しめるかと思います!
基本情報
内容を本当にざっくりとお話しますと、
都を追われた源義経が家来の武蔵坊弁慶たちとともに変装して逃げている。
関守の富樫左衛門が守る安宅の関に差し掛かるが、正体を見破られる大ピンチ。
絶体絶命の弁慶はどうにかして義経を守り抜き、関を越えようと奮闘する…というものであります。
言葉にしますとただそれだけなのですが、
そのシンプルな作りの中に三人の男たちの思いやそれぞれの立場が交錯し、
心がわなわなと震えるような人間ドラマが描かれている名作です。
お楽しみのポイント
・大道具はなく想像力が要→歌舞伎ですが「能」風に演出しています。凍てつくような風の吹きすさぶ緊張感あふれる関所をイメージしてご覧ください。
・実は音楽劇→「長唄」の詞章が物語を語っています。あらすじとともに聞いてみますとより楽しめます!
・歌舞伎の決めポーズ「見得」→一つの演目に様々な種類の見得が。ご注目ください!
勧進帳はこのすえひろも大大大好きな演目ゆえ、
このほかねちねちねちねちとお話した回がたくさんございます。
以下にひとつまとめますので、何らかのお役に立てればうれしく思います。
勧進帳の位置づけ
勧進帳は数ある歌舞伎の演目のなかでも、とりわけ特別とされる存在であります。
海老蔵さんが江戸歌舞伎一の大名跡である團十郎の襲名を前に、
全国を巡ってお勤めになることからもいかに大切な演目であるか察せられます。
しかしそれは一体なぜなのか?ということの一端をごく簡単にお話いたしました。
ざっくりとしたあらすじ
勧進帳では長唄の詞章とともに物語が進んでいきますが、
初めての場合は聞き取るのは大変難しいかと思われます。
しかしあらすじを把握しておきますと、少し言葉が入ってきやすくなります。
ごく簡単に流れをお話したものがありますのでお役に立てれば幸いです!
弁慶と富樫の葛藤
義経と弁慶の主従関係にも胸が熱くなりますが、
富樫と弁慶の男と男の命をかけたやりとりにも心が震えます!
そんな弁慶と富樫の人物像についてお話したのがこちらです。
勧進帳にちなんだ演出のことば
勧進帳には、歌舞伎のお約束の演出がさまざま用いられています。
他の演目でも共通してくる知識ですので少しばかりご紹介いたします!
次回の観劇の際にもご活用いただけるかと思います。
長くなりましたが、勧進帳の予習に役立つ情報をご紹介してまいりました。
勧進帳は音楽の教科書にも掲載されている作品であるため、
歌舞伎をご覧になったことがなくとも内容をご存知の方もいらっしゃるかと思います。
シンプルながら知れば知るほどに深みにハマるような演目でもあり、
このすえひろのような若輩には語りつくせぬ魅力にあふれていますが、
これまでのお話が何らかのお役に立てることを願っております!