歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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ストリートビューで歌舞伎ゆかりの地に行ってみた  勧進帳編

いまだ劇場の幕は開かぬ昨今、Googleストリートビューで芝居の舞台となった場所とその周辺を訪ねてみることが数少ない楽しみのひとつとなってまいりました。

本日もひとつ訪ねてみようと思いますので、みなさまもぜひご一緒にいかがでしょうか。事情があり画像そのものを貼ることができず地図埋め込みとなりますが、何卒ご了承くださいませ。

 

先日2007年パリオペラ座での「勧進帳」の映像を拝見し、長唄の詞章から想像力を駆り立てられてたまらない気持ちになりました。オペラ座の豪華絢爛の内装のなかにあって、荒涼とした関所の情景を想像させてしまう邦楽の底力に感じ入った次第です。

ですので、今日は「勧進帳」ゆかりの地へ行ってみるつもりです。

 

勧進帳」といえば今月上演されるはずであった團十郎襲名披露興行でも襲名披露狂言として並んでいましたね。素晴らしい舞台を思い描きつつ、勧進帳ゆかりの地を旅してみましょう!

前回:鬼一法眼三略巻 編

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勧進帳とは

勧進帳」は、成田屋の芸として伝わる歌舞伎十八番のうちのひとつ。兄・頼朝に疎まれて都を追われた源義経が、弁慶らとともに奥州へと落ち延びる途中、関守の富樫左衛門が待ち受ける安宅の関を通る場面を描く演目です。

弁慶は義経を守るため山伏一行を装って関所を通ろうとするものの富樫の詮議は厳しく、さあどうなる…というスリリングなドラマであります。

さっそく行ってみましょう

勧進帳」は能の舞台をモデルとした松羽目物の演目ですので、舞台の上には五色の揚幕と臆病口、そして大きな松の木一本が描かれた鏡板だけというストイックな舞台美術です。そのため安宅関のようすは頭の中で描き出すしかなく、その場の空気を感じるためにいつか足を運びたいなあと思っていた場所であります。

しかしながらこういった状況ですのでここは文明の利器に頼り、想像力の助けとしたいと思います。

 

さて、安宅関はこのあたりのようです…

近隣には義仲町という地名も見え、地名の由来はわかりませんが源平感を感じてワクワクします。さっそくストリートビューに切り替えてみましょう。

勧進帳のふるさと 安宅の関」との看板が立っていますね。

安宅ビューテラス ATAKA CAFEなるものが気になります。弁慶ががぶがぶとお酒を飲むのでしょうか。

 

道なりに進みますと開けた川沿いの一本道が出てきましたよ。

 

 

まるで花道のようですね。素晴らしい景色、良い感じです。

旅の衣は篠懸の…旅の衣は篠懸の…と、義経弁慶の不安な思いを想像しつつ、ちょっとこの一本道を進んでみたいと思います。

 

これやこの 往くも帰るも 別れては…

 

 知るも知らぬも逢坂の 山隠す…というような具合でしょうか。おおおお

 

いや、道を間違えました。ちょっと海辺の雰囲気の良さに引きずられ、全然違うルート進んでしまっていたようです。すみません。地図の解読は不得手でした。

 

先ほどの道を少し戻りまして、安宅の関跡はこの公園の中にあるようです。

まさに「安宅公園」です。

 

そしてこれが!いきなりですけれども「安宅の関跡地」だそうです!

 

うわー、なんと申しますか、鬱蒼と生い茂る木々の暗がりがなんともスリリングでもの寂しく、独特の緊迫感がありますね。。なんだか不安な思いを抱きます。

 

こうして実際の場のムードを見てみますと、「判官どのをここで死なすわけにはいかない」という弁慶の思いや、強力の出で立ちで打擲される判官どのを目の当たりにした富樫の葛藤に、いっそう共感します…。

先ほどの水辺のようすから想像するに、多分ここには波の音などもかすかに聞こえてきて風も強いのではないかと思われ、より一層のもの寂しさが感じられます。 

 

広場に出てみますと、なんと歌舞伎の勧進帳が銅像で再現されていました!

これは夜見たらおそろしそうですね。

 

 

近隣には「勧進帳の里」と名のついた建物も。

現在の名前は「『安宅の関』こまつ勧進帳の里 うみのえき安宅」とのこと。

なんでもここはオーシャンビューの食堂で、勧進帳の弁慶をモチーフにしたキャラクター「カブッキー」のグッズもそろっているそうです。

ストリートビューでは見えませんでしたがお隣には「勧進帳ものがたり館」なる記念館もあるそうで大変気になります!

 

最後に安宅の海岸を見て帰るとしましょう。

ああ…文字通り暗雲が立ち込め、最高のロケーションであります。

義経一行の不安な胸のうちを表しているようです…たまりません。

 

 

ここまで「勧進帳」の舞台である安宅の関の現在のようすを見てまいりました。

歌舞伎の舞台美術とは全く異なるものの、長唄の詞章や三味線の音から抱くイメージとはそうかけ離れてはおらず、長唄の表現力のすさまじさを改めて思い知った次第です。

ぜひともこの場の空気や香り、音などをしっかり味わいたく、いつの日か必ず訪れたいと思います!

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