歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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ストリートビューで歌舞伎ゆかりの地に行ってみた 義経千本桜 吉野山編

新型コロナの外出自粛期間に始めた「Googleストリートビューで芝居の舞台となった場所とその周辺を訪ねてみる」という遊び。本日もひとつ訪ねてみようと思います。ゆるゆるとした旅ですがみなさまもぜひご一緒にいかがでしょうか。

ただいま上演中の八月花形歌舞伎にちなみまして、第三部「吉野山」ゆかりの地をうろうろしてみたいと思います。

果たしてストリートビューの画像も桜が満開なのかどうかわからないのですが、一か八か行ってみます。行き当たりばったりのうえ、事情があり画像そのものを貼ることができず地図埋め込みとなりますが、何卒ご了承くださいませ。

前回:与話情浮名横櫛 編

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吉野山とは

吉野山」は、三大狂言のひとつに数えられる義経千本桜という長いお芝居の中の、「道行」と呼ばれるジャンルの舞踊の場面です。源義経の愛妾・静御前と、義経の家臣の佐藤忠信に化けた狐の子が、桜満開の吉野山を旅する美しい演目であります。

さっそく行ってみましょう

全国でも有数の桜の名所であり、なんと世界遺産にも登録されている奈良の吉野山はこのあたりのようです!桜のタイミングを狙うのも大変ですし、ちょっと個人的にふらっと行けるような場所ではなさそうですね…ストリートビューは非常にありがたく思います。

どこから行こうかな…と思い地図を眺めておりますと、「佐藤忠信」の名前を発見しました!もちろん狐ではなく実在の忠信であります。

この碑のあたりが「佐藤忠信花矢倉」なる場所で、佐藤忠信が防ぎ矢を射た趾だそうです。

 

なんでも吉野山にこもっていた義経が追い詰められてしまい、佐藤忠信がおとりとなって義経を逃がし、ここから矢を放ったのだそうです。まさに忠臣であったのですね。 

 

そんな景色を眺めながら、道なりに山を下りていきましょう。

眼下に見えるピンクのもこもこした木々が幻想的ですね。

 

観光の方々の姿が見えます。どうやら私は観光コースを逆走してしまっているようですが、気にせず進んでいきましょう。

 

ストリートビューですとなんだかうまくいきませんが、それでも美しさが伝わります!東京でも見られるソメイヨシノの並木とは違い、ピンク色の濃淡がさまざまで本当にきれいです。主にシロヤマザクラという品種の桜を中心に約3万本もの桜が植えられているそうであります。

 

吉野町の公式ホームページによりますと、吉野山の桜はお花見のために植えられているものではなく、山岳信仰と結びついた信仰の桜なのだそうです。起原は約1300年前にさかのぼり、当時の人々はこの山を神仙の住む理想郷と考えていたとのことであります。

 

少し遠くから眺めてみたところです。観光協会の写真などを見るに、このストリートビューは満開の時期ではないのかもしれませんが、それでも見事ですね…!

「義経千本桜」の題名は、この見事な景色から来ているのですね…。ここに謎多き義経が隠れていたと聞いて創作意欲が駆り立てられないはずはなく、三大狂言のなかでももっともファンタジックな世界が繰り広げられるのもさもありなんと思います。

 

実は吉野山には「狐忠信の碑」なる場所もあるらしいのですが、残念ながらストリートビューでは発見することができませんでした…

これは現地に行くしかなさそうです…!いつの日か必ず春に旅してみたいと思います。

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