歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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やさしい楼門五三桐 その三 ざっくりとしたあらすじ①

ただいま歌舞伎座で上演中の三月大歌舞伎
第三部で上演されている「楼門五三桐」は、有名な大どろぼうの石川五右衛門が登場する歌舞伎らしさあふれる演目です。今月は吉右衛門さんが石川五右衛門をお勤めになっています。

先日、以前にもこちらのブログでお話したものをまとめました。

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少しお話を加えていきたいと思います。何らかのお役に立つことができれば幸いです。

天下人久吉 石川五右衛門のターゲットに

楼門五三桐(さんもんごさんのきり)は、元の外題を「金門五三桐(きんもんごさんのきり)」といって、安永7年(1778)に大坂角の芝居で初演された演目です。繰り返し上演されるうち「楼門五三桐」の外題になりました。

 

「五三桐」という言葉が外題に使われていることから、秀吉に関係があるらしいなという前情報を得ることができるようになっています。秀吉に関係の深い大どろぼう石川五右衛門の伝説をお芝居としたものです。

南禅寺の山門にたたずむ石川五右衛門がとにかくド派手にカッコよく登場するというのがお楽しみの演目で、通常「楼門(ろうもん)」のところを「楼門(さんもん)」と読ませています。

 

上演時間は15分と非常に短く、詳しい状況説明なしでいきなり始まっていきなり終わるという演目です。歌舞伎らしさが爆発しているのでそれでも十分に楽しめるのですが、内容をつかむとよりおもしろくなるかもしれません。

ざっくりとお話してまいりますので、お役に立てれば幸いです。

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豊国 石川五右衛門・大願久吉 国立国会図書館デジタルコレクション

 

舞台設定は真柴久吉の世。

都に盗賊が跋扈し、世間がざわざわとして不安な日々が続いている状況です。華やかな大道具からは想像しにくいのですが、実は社会不安が広がっているのであります。

盗賊団をひっ切るリーダーは、稀代の大どろぼう石川五右衛門。狙う先も規格外でして、大きな商家や大名、お公家さんのお屋敷にまで盗みに入り、金銀財宝をほしいままにしていました。

 

いよいよ天下人である真柴久吉も五右衛門のターゲットとなってしまい、大切な秘蔵の香炉「千鳥」を盗まれてしまったのであります。

真柴久吉は名前の響きからわかるように、羽柴秀吉をぼかしてある役名です。実在の歴史上の人物などをそのまま実名で使うとお咎めがあったためですが、石川五右衛門はそのままです。

五右衛門が秀吉から「千鳥」を盗もうとしたという伝説は実際にありまして、「千鳥」本体はいまも名古屋の徳川美術館に所蔵されています。

久吉は五右衛門とその子分たちを捕まえるため、家臣たちを都に送り込んでいる…というところまでが演目の前提です。

 

ここからいよいよ幕開けとなるのですがきりが良いので、演目の内容は次回に続きます!

公演の詳細

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