ただいま歌舞伎座で上演されている團菊祭五月大歌舞伎!
第三部で上演されている「弁天娘女男白浪」は、音羽屋の家の芸として伝わる世話物の名作。七五調の名セリフで知られる歌舞伎屈指の人気演目です。今回は右近さんの弁天小僧を中心にお若い配役で上演されるとあって、注目を集めています。
「弁天娘女男白浪」については過去にお話したものがございますので、ここにひとつまとめてみます。古く稚拙なものでお恥ずかしいのですが、何卒ご容赦ください。芝居見物や放送、配信などのお役に立てればうれしく思います。機会を見てまた改めてお話いたします。
弁天娘女男白浪とは
弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)は、幕末期に活躍した名作者・河竹黙阿弥の二代目河竹新七時代の作品です。江戸時代における現代劇をあらわす「世話物」というジャンルを代表する名作です。
五人組の盗賊「白浪五人男」のメンバーである美少年・弁天小僧菊之助が女性のふりをして、呉服店の浜松屋から大金をせしめるため詐欺・恐喝行為に及ぶのだが…というストーリーであります。
ざっくりとしたあらすじ
「弁天娘女男白浪」はセリフが聞き取りやすく状況も複雑でないので、初めてご覧になる場合も比較的わかりやすいかと思います。補足的として、ざっくりとしたあらすじをお話したのがこちらです。
今月は残念ながら上演されませんが、「浜松屋」の場面のあと不思議な縁の物語が展開していきます。
元ネタはここに
女装の盗賊・弁天小僧菊之助は大変人気のある役どころです。このアイデアの源は絵草紙屋で売られていた一枚の絵であったという、江戸時代の有名な逸話についてお話いたしました。(諸説あり)
有名な大どろぼう日本左衛門
「浜松屋」の場面で、突然現れる立派な侍風の男・日本駄右衛門。彼は白浪五人男のリーダーで、実在のモデルがいます。現代でも文献が残る伝説のどろぼうについてお話したのがこちらの回です。
「知らざあ言って聞かせやしょう」
視覚的な面白さばかりでなく、セリフの素晴らしさも「弁天娘女男白浪」の大切な要素です。声に出してみたくなるカッコいいせりふをご紹介しております。
心おどるアウトロー列伝
江戸時代に人気を博し、現代でも変わらず好まれている「白浪物」というジャンルについてお話したのがこちらの回です。