歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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【あす14日】歌舞伎座・六月大歌舞伎 チケット一般発売!

あす14日(土)は6月の歌舞伎座公演

六月大歌舞伎のチケット一般発売日です!

昨日、第三部にご出演の予定であった仁左衛門さんの休演と、演目そのものの変更についての発表がありましたね。急なことですので、当初の第三部の観劇を予定されていた方は何卒ご注意くださいませ。

www.kabuki-bito.jp

たまたま本日歌舞伎座へ出かけまして、「与話情浮名横櫛」の文字が消えてしまったポスターを目にして、なんともいえぬ寂しさを感じました…。とても心配ですが、必ずまた仁左衛門さんと玉三郎さんの切られ与三を拝見できる日が来ると信じております。

変更の演目「ふるあめりかに袖はぬらさじ」も貴重な機会ですね…!このような状況にあってもさまざまな方法で我々観客を楽しませてくださること、感謝の思いでいっぱいです。残念な気持ちはひとまず胸にしまって、この機会を存分に楽しみたいと思います!

公演の詳細

www.kabuki-bito.jp

一般発売日

5月14日(土)10:00~

【チケットWeb松竹】

会期・上演時間

2022年6月2日(木)~27日(月)

第一部 11:00~
第二部 14:15~
第三部 18:00~

休演日:9日(木)、20日(月)

チケット料金

一等席        16,000円
二等席   12,000円
3階A席      5,500円
3階B席      3,500円
1階桟敷席  17,000円

歌舞伎座では一月から販売座席数が少し増え、原則2列並びとなりました。舞台の見え方も、以前の歌舞伎座に近づきつつあります。2列並びとはいえ、会話は控えることが呼びかけられています。お友達とお出かけになる方が増えるかと思いますが、どうぞご注意くださいませ。

歌舞伎座の感染対策

歌舞伎座の感染対策についてご心配なさっている方もおいでかと思いますので、昨年8月の再開時に実際に出かけてきた際の記事をご紹介しておきます。このあと上演形態は変わりましたが、玄関での入場時の作法は変わりません。記事公開後の大きな変更は、①筋書の販売再開、②2席並び販売、③めでたい焼き予約販売(持ち帰りのみ)④花篭食堂です。

www.suehiroya-suehiro.com

 

現在感染状況は落ち着いていますが、状況が悪化した場合も歌舞伎公演が続くために重要と思われるポイントがあります。今一度我々観客の方でも徹底してまいりましょう。

①ロビーや客席では会話を控えることが推奨されています。

②整理退場への協力が求められています。終演後も係の方からの案内があるまで座席で待ちましょう。

会話を控えるのはもちろん、整理退場も出入口での密集を避けるための大切な施策ですので、ご自身の身を守るためにもぜひご注意ください。

歌舞伎座の感染対策はこれまで非常に厳格に守られ、我々観客の健康をしっかりと守っていただいてきましたから、今後も提示のとおりに取り組んでまいりましょう。

おすすめのポイント

六月の歌舞伎座は、若手の花形役者の方々から人間国宝の方々まで人気役者の揃った豪華な配役です!

特に注目なのは、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にご出演で話題を呼んでいた染五郎さんが、17歳にして歌舞伎座初主演を果たされるということです!ドラマの染五郎さんを通じて歌舞伎に興味をお持ちになった方も多いのではないでしょうか。

実は歌舞伎役者の方々の中でも、主役をお勤めになる役者さんは限られています。さらに70代、80代の方までもが、主役として活躍なさる世界です。

歌舞伎の殿堂といえる歌舞伎座の舞台、なおかつ若手花形だけでなくベテラン勢を揃えた演目において、17歳の染五郎さんが主役をお勤めになるというのは特別なことです。歌舞伎役者の長い役者人生のなかで、初主演の機会は一度しかありません。ドラマを通じて興味を持たれた方には、ぜひにとおすすめいたします!

 

また先ほども申しましたが、仁左衛門さんの休演に伴って第三部の演目が「与話情浮名横櫛」から「ふるあめりかに袖はぬらさじ」に変更となりました。当初の演目で予定されていた方は何卒ご注意くださいませ。

各部の内容を、ごく簡単にご紹介いたします。

 

第一部「菅原伝授手習鑑 車引」は、菅原道真の伝説を基にした名作演目のなかの名場面。数ある歌舞伎演目の中でも、特に歌舞伎らしさを感じられる演目です!

多くの方が歌舞伎といえばくまどりを連想されるかと思いますが、実はすべての芝居でくまどりが見られるというわけではありません。この演目では、くまどりをした役者さんがド派手な衣装で、大きな声を出してドカーンとポーズを決める…という歌舞伎のイメージを存分に堪能できます。

続く「澤瀉十種の内 猪八戒」は、孫悟空でおなじみの西遊記をモチーフとした舞踊です。テレビでも人気の猿之助さんの澤瀉屋ゆかりの演目です。猿之助さんは舞踊の名手ですので、理屈抜きの楽しさを味わえるはずです。

なんと今回、歌舞伎座の本興行では95年ぶりの上演ということです!!約一世紀であります。このすえひろはもちろん、現在生きている方の誰もが、歌舞伎座では初めて見る舞踊なんですね…!ワクワクします!

 

第二部「信康」は、徳川家康とその長男・信康の父子の間に起こる悲劇です。染五郎さんが信康、おじいさまの白鸚さんが家康をお勤めになります。染五郎さんは「鎌倉殿の13人」に続き、若くして死す役どころです。

日本には昔から少年が儚く散ることをとりわけ悲しむ文化が根付いていると以前なにかの本で読んだことがあります。2022年の今でも染五郎さんを通じてその感覚を味わうことができていることに興奮します。今しかない味わいですので見逃せませんね!

続く「勢獅子」は、江戸の祭りに鳶頭や芸者といった江戸の花形職業の人々が集合して繰り広げる華やかな舞踊です。

 

第三部「ふるあめりかに袖はぬらさじ」は、幕末の横浜の遊郭を舞台とした小説家の有吉佐和子による戯曲。演劇史に名を残す伝説的女優の杉村春子から玉三郎さんに受け継がれ、繰り返し上演されている名作です。こうして言葉にしてみると、玉三郎さんと同じ時代を生きることができ、そのお芝居を自分の目で拝見できるというのは、本当に奇跡的な幸せだとつくづく思います…!

 

今回初めてご覧になる方にはどの部もおすすめですが、特におすすめしたいのは第二部でしょうか。先ほども申した通りの特別な舞台ですので、アッ気付いたら歌舞伎の沼底にいる…という体験ができる方が続出するのではないかと思います!

とにかく理屈抜きの底抜けな歌舞伎感を味わいたい方には第一部を、セリフが聞き取りやすくわかりやすいお芝居が安心な方には第三部をおすすめいたします。無事、全日程で上演がありますように!

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