本日、歌舞伎座にて芸術祭十月大歌舞伎の幕が開きました!おめでとうございます!
例年10月に行われている文化庁芸術祭への参加公演です。今回は講談界とのコラボレーションなどもあり注目の内容です。先月と同様、一日も上演中止になることなく無事に千穐楽まで上演が続くよう、切に願っております。
幕間の食事が復活!
十月の歌舞伎座は例年同様の文化庁芸術祭参加公演ですが、例年に比べてお若い配役です。新しい時代が始まっているんだなと感じ、なにやら寂しいような思いもいたします。
バランスの良い狂言立てで、初めて歌舞伎をご覧になる方にはどの部もおすすめなのですが、特におすすめしたいのは第一部です。
第一部では舞踊の名手の猿之助さんが、ゆかりの深い舞踊劇「鬼揃紅葉狩」をお勤めになります。信濃戸隠山に伝わる鬼女伝説を題材としていて、舞台一面の紅葉が目に鮮やかで、とにかく目に美しい演目です。ストーリーを追いながら見なければならないものではありませんので、舞台の世界に没頭できるのではないかなと思います。
一方、このすえひろが好きなのは第二部「祇園恋づくし」です。気の短い江戸ッ子がやむを得ず京都に滞在することになり、文化の違いにイライラしながらも次第に心を通わせてゆく…という愉快な内容です。これが妙に共感すると申しますか。
私は代々東京の下町の人間で、パッパパッパと行動したい方ですので、観光シーズンに京都の四条通で乗ったバスが渋滞にはまったりしますと、それはそれは気が急いてしまうのです。しかし乗り合わせた京都の方々は、焦るそぶりなくスマホを取り出し、おしとやかに職場へ電話なさっていたりするんですよね。優雅です。暮らしのスピードの違いを感じ、私は何をイライラしているんだろうと思わされます。そんな体験を思い出す一幕です。
近代の演目で内容がわかりやすいので、初めての方にもおすすめです!
それはそうと、今月からいよいよ歌舞伎座での幕間の食事が解禁されますね!ただし黙食とのことですから、我々観客の方でも徹底してルールを守ってまいりましょう!
歌舞伎の歴史においては芝居と食事はセットですから、この文化が残って本当によかったなと安堵しております。しかしながら、2020年4月に閉店してしまった歌舞伎座向かいの辨松さんのことが思い出されます。152年の歴史を持つお弁当屋さんでした。
あの頃は「あと少し持ちこたえて下さったら…」と残念に思っていましたが、まさか歌舞伎座での食事の再開までにこんなにかかってしまうとは思いませんでした。2年半、商売においての影響は計り知れない年月です。せめて歌舞伎座地下のお弁当売り場が再びにぎわうことを願っています。