歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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七月をふりかえり…2023年

早いもので七月も今日で終わり…

今月は歌舞伎座、新橋演舞場、国立劇場、そして大阪松竹座などなど、芝居の忙しいひと月でしたね。

そしてこちらのブログは多忙につき数日のお休みをいただくと申しながら、あれよあれよという間に一カ月が経過してしまいました。お読みいただいている皆様には申し訳ございません。芝居は変わらず楽しく拝見しておりました。

徐々に戻りますので、何卒よろしくお願いいたします。今後も何らかのお役に立つことができれば幸いです。

芝居三昧の七月

今月はこのすえひろも、歌舞伎座の昼の部・夜の部に加えて、新橋演舞場の「新作歌舞伎 刀剣乱舞」、国立劇場の歌舞伎鑑賞教室「引窓」、大阪松竹座 七月大歌舞伎と拝見してまいりました。

どの劇場もそれぞれに楽しく思い出深いものでしたが、特に大阪松竹座は強く印象に残る体験でしたので、別日に改めてお話し直したいと思います。

 

いま改めて今月の芝居を思い返していて印象深いのは、国立劇場の歌舞伎鑑賞教室「引窓」でしょうか。胸に沁み入る素晴らしい舞台でした。

今回は芝翫さんの与兵衛、錦之助さんの濡髪、高麗蔵さんのお早、梅花さんのお幸という配役です。様々な事情を抜きに考えれば、芝翫さんの濡髪と錦之助さんの与兵衛という配役の方がイメージしやすいなーと思っていたのですが、いざ拝見してみますと想像以上に違和感なく、登場人物それぞれの葛藤に泣かされました。

 

また上演前の宗之助さんによる解説も、大変ありがたいアシストでした。

ガラガラと引窓を開けた際に天井から差し込む月明かりのイメージを、照明を使って舞台に再現してくださったのです。江戸時代の環境における引窓の照明効果は現行の舞台ではなかなか想像しにくいものでしたから、今後「引窓」を拝見するときに非常に役に立ちそうです。

 

私が拝見したのは親子鑑賞教室の日で親子連れの方々が大勢いらしていたので、お子様にとっては演目がちょっと渋すぎるのではないかと心配だったのですが、私の近くにかけていらしたお子様は濡髪長五郎の出で立ちや喋り方がおもしろかったようで、何かが刺さっているようすを垣間見ました。

大人も子どもも、何が心に残るかは実際に体験してみないとわからないものですし、本質的に良いドラマというのは何かが伝わるのでしょうね。親子鑑賞教室に引窓は渋すぎるのでは…と思ってしまったことを反省した次第です。

何かの拍子で幼い日の記憶が呼び起こされ、急激に歌舞伎ファン生活に突入することもありますので、入り口が引窓というのは素晴らしい種まきであったのだろうなと思います。

 

また新橋演舞場の「新作歌舞伎 刀剣乱舞」も、強く印象に残っています。

原作の刀剣乱舞については全く知らない状態で拝見しましたが、古典歌舞伎を見に来たんだっけと思うくらい、違和感なく拝見することができました。

それでもどこかブロードウェイ的と申しますか、ミュージカル的な演出、香りも感じられ、松也さんがこれまでのご活躍で培われたものが歌舞伎として昇華された作品であったのだなとしみじみ思いました。次々に新しい芝居が生まれそうな予感を感じます。今後のご活躍を楽しみにしております。

そして鷹之資さんがとても素敵だったので、アクスタなるものを思わず予約注文してしまいました。出先に持っていき、写真を撮ったりするのが当世流の活用法のようですね。到着がとても楽しみです。

 

来月はどんな芝居が待っているのでしょうか。

楽しみに今日は休みたいと思います。おやすみなさいませ。

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