みなさまいかがお過ごしでしょうか。寒暖差で体調を崩しやすい季節ですね。何卒ご自愛くださいませ。
昨日から先日開催された第39回 俳優祭の感想をしたためております。俳優祭というのは数年に一度開催される俳優協会のお楽しみイベントで、協会の資金集めを主な目的としています。模擬店で俳優さんと間近に接することができたり、この日限りのおもしろい演目が上演されたりと、大変に盛り上がるイベントです。
このご時世、役者さんにさまざまな危険が降りかかることも想定されるなか、昔ながらのスタイルで開催され、怪我なく幕となったことが素晴らしいなと思います。このスタイルでいつまでも続いてほしいと願うばかりです。
第39回俳優祭の思い出② 於：国立劇場大劇場
今回の俳優祭は、
一、菅原伝授手習鑑 加茂堤・車引
二、お楽しみ模擬店
三、映像でふりかえる初代国立劇場の思い出
四、戯場八景名残隼（ゆめのくにへようこそありがとうこくりつ）
というプログラムで開催されました。
菅原伝授手習鑑が終わると、彦三郎さんからお楽しみ模擬店の注意事項についての説明があり、50分間のお楽しみ模擬店が始まりました。お楽しみ模擬店というのは、国立劇場じゅうに設置された数々の模擬店の店頭に俳優さんたちが立ち、手づから売り子をしてくださるという驚くべき催しです。
あらかじめ現金を一綴り1000円の金券と交換しておき、この金券を使って模擬店で買い物をします。
模擬店はＴシャツなどのグッズを売るお店から、焼きそばなどの食べ物を売るお店、輪投げやじゃんけんなどのゲームができるお店などなどさまざまあります。Tシャツなどのグッズは4000円ほどしますが、食べ物は800～500円程度と良心的な価格設定です。
(始まる前の模擬店)
すべてに俳優さんがいらっしゃるので、熱気で頭のネジがはじけ飛び、我を忘れてしまいます。どの方からめぐるのか、金券は足りているか、或いは余らないか…など熟考に熟考を重ねるものの、最終的にはノリと勢いに突き動かされるという時間です。
模擬店の中でも特におもしろかったのが、画廊のコーナーでした。大変貴重な押隈のオークションが行われていたり、歌舞伎役者の方の直筆絵画、サインなどが販売されているのです。江戸時代にこのようなことがあったかは存じませんが、なんだか江戸時代のようで風流だなあと思います。
押隈というのは、舞台を終えた役者さんが、布地に顔を押し付けて化粧を写し取るものです。今回、吉右衛門さんや藤十郎さんなどこの世を去られた役者さんの押隈の出品があり、間近で拝見できたことが本当にうれしく、感慨深いものがありました。
この世を去られてから写真を何回も拝見しているはずなのに、押隈を目の前にすると、写真よりもずっとずっと鮮明に舞台上のお姿がいきいきと現れるようで。懐かしさで涙が出てくるような、とても不思議な体験でした。
写真の無い時代の歌舞伎の御贔屓は、こんな風にして役者を偲んでいたのでしょうか。大切な押隈をどなたかが出品してくださったということですから、拝見させていただき本当にありがたいことでした。
そんなこんなで、このすえひろも会場じゅうをぐるぐるとめぐり、汗だくになりながら様々な品々を購入して役者さんに写真をお願いしたりしてきました！日頃歌舞伎の舞台で拝見している方々がＴシャツ姿で目の前にいらっしゃるというのは、今思い返しても頭がどうにかなりそうです。
自分が映っていたり他のお客様が映り込んでしまうなどしてお見せできるクオリティの写真が少なく申し訳ないのですが、単独で撮らせていただいた方の写真を少しばかり…本当にありがとうございました。
