ただいま歌舞伎座で上演されている壽 初春大歌舞伎!
第三部で上演されている「十六夜清心」は、幕末から明治期に活躍した名作者・河竹黙阿弥の人気作。禁断の恋の果ての心中未遂、そこから転落していく運命を退廃的に描きます。今月は幸四郎さんと七之助さんがうっとりしてしまうような美男美女カップルをお勤めで、初めての方には大変おすすめの機会です!
「十六夜清心」については過去にお話したものがございますので、ここにひとつまとめてみます。古く稚拙なものでお恥ずかしいのですが、何卒ご容赦ください。芝居見物や放送、配信などのお役に立てればうれしく思います。機会を見てまた改めてお話いたします。
十六夜清心とは
十六夜清心(いざよいせいしん)は、幕末期に活躍した名作者・河竹黙阿弥が、当時の人気役者四代目市川小團次とタッグを組んだ作品です。実在した盗賊をモデルとして、遊女・十六夜との道ならぬ恋の果てに、悪の道へと転がり落ちていく僧・清心の姿を描き出します。
盗賊が登場する演目を「白浪物」と呼び、河竹黙阿弥はその名手として知られています。世の中が不安定であった幕末期には退廃的な世界観の演目が人気を呼んだようで、白浪物がたくさん作られました。
鬼坊主改め鬼薊の清吉
清心および鬼薊の清吉のモデルとされている人物についてごく簡単にご紹介したのがこちらの回です。
隅田川 早春の風物詩「白魚船」
川に身を投げた十六夜が拾われる船「白魚船」は、江戸時代の隅田川の早春の風物詩であったそうです。季節感の魅力的な演出も黙阿弥の得意とするところでした。