ただいま歌舞伎座で上演されている秀山祭九月大歌舞伎
初代吉右衛門の芸を顕彰するため毎年9月に開催されてきた秀山祭。今年は二世中村吉右衛門三回忌追善と冠して開催されています。吉右衛門さんの当たり役、ゆかりの深い演目がずらりと並んで圧巻であり、いかに代え難い方であったかがよくわかります。
第一部で上演されている「祇園祭礼信仰記 金閣寺」は、桜の咲く金閣寺を舞台とした非常に美しい舞台で、古典の時代物の大作として有名な演目です。今回は、女形の方の大役である主人公の雪姫を若手の児太郎さんと米吉さんがお勤めになります。
「祇園祭礼信仰記 金閣寺」については過去にお話したものがございますので、ここにひとつまとめてみます。拙い内容のものが多くお恥ずかしいのですが、芝居見物や放送、配信などのお役に立てればうれしく思います!また機会を見て、改めてお話したいと思います。
祇園祭礼信仰記 金閣寺とは
金閣寺(きんかくじ)は、祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)という全五段にわたる長い物語のうちの一場面です。宝暦7(1757)年12月に人形浄瑠璃として上演されて大評判となり、翌月の宝暦8(1758)年1月に歌舞伎として上演されました。
つま先でねずみを描いたら本物のねずみが現れたという雪舟の有名なエピソードを基にした、ファンタジー展開のある美しい演目です。
ざっくりとしたあらすじ
金閣寺は数ある歌舞伎の演目のなかでも特に美しい大道具が使われ、桜の花が舞台一面に咲き乱れ、うっとりと楽しめる演目であります。しかしながら、初めてご覧になる場合はお話の内容がややつかみづらい部分もあるかもしれません。全体を4回に分けてざっくりとお話したのが下記の回です。
古い記事で拙い内容ですので、機会を見て改めてお話をしたいと思います。
主人公の雪姫は大役
今月児太郎さんと米吉さんがお勤めになる雪姫の役は、「三姫」に数えられる女形の大役。縄で縛られ、桜吹雪のなかで涙にくれる姿には、被虐美と表現される独特の美しさがあります。
秀吉と金閣寺
今回は勘九郎さんがお勤めになる此下東吉実は真柴久吉という実にカッコいい登場人物は、天下人・豊臣秀吉をイメージしたキャラクターです。歌舞伎における秀吉についてお話したのがこちらの回です。
極悪人 松永大膳のいろいろ
金閣寺のなかでもうひとり大変特徴的なキャラクターが松永大膳であります。今回は歌六さんがお勤めになります。
松長大膳のようにもさもさとボリュームのある髪型の人物は、たいがいが天下を狙う極悪人というのがお約束。この大膳の演出にまつわる歌舞伎用語がいろいろとあり、そのことについてお話したのがこちらの回です。