ただいま国立劇場で上演中の令和3年10月歌舞伎公演 通し狂言 伊勢音頭恋寝刃!
主役の福岡貢を当たり役としてお勤めになってきた梅玉さん主演による上演、しかも今回は通し狂言ということで大変貴重な機会です。このすえひろも非常に楽しみにしております。
「伊勢音頭恋寝刃」については、過去に上演された際にいくつかお話したものがあります。古い記事で今以上に拙くお恥ずかしいのですが、何らかのお役に立てればうれしく思います。
そもそも伊勢音頭恋寝刃とは
伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)は、 1796(寛永8)年7月に大坂の角の芝居で初演された演目です。
お伊勢参りの観光スポットにあった遊郭・油屋で起こったショッキングな殺人事件「古市十人斬り」を題材とし、事件発生から数日のうちに上演されました。当時の芝居には、人々に事件のあらましを伝えるニュースの再現VTRや事件の実録ドキュメンタリー番組的な側面があったようです。
夏のお伊勢を感じる演出
江戸時代爆発的に流行したお伊勢参りは、江戸の人々にとっては一生に一度は行きたい憧れの行楽であったようです。「伊勢音頭恋寝刃」はそんなお伊勢参りの風物や夏らしさを感じさせる演出が演目の随所に盛り込まれ、旅情あふれる夏芝居として人気を博しました。
人気の温泉地を舞台にした二時間サスペンスドラマのようなものでしょうか。近ごろはあまり見かけませんがまた見たいものです。赤い霊柩車とスチュワーデス刑事が好きでした。もうスチュワーデスという言葉も使わなくなって久しいですね。
福岡貢は「ぴんとこな」
主役の福岡貢のような男性像を差す歌舞伎ならではのことば「ぴんとこな」について簡単にご紹介したのがこちらの回です。