ただいま歌舞伎座にて上演中の吉例顔見世大歌舞伎
いよいよ今年も顔見世の時期となりました。芝居界の一年のはじまりとして各劇場が取り揃えたスターのお披露目とされていた、江戸時代からの名残りであります。
第二部「壽曽我対面」は十世 坂東三津五郎七回忌追善狂言として上演される大切な一幕です。御子息の巳之助さんが、ゆかりの曽我五郎をお勤めになります。
この演目は比較的上演頻度の高い演目で、このブログでも以前より何度かお話しておりますので、ここにひとつまとめておきたいと思います。芝居見物や配信の際などのお役に立てれば幸いです。
そもそも壽曾我対面とは
壽曽我対面(ことぶきそがのたいめん)は、江戸時代に人気を博した「曽我物語」を題材とした演目。「対面(たいめん)」とも呼ばれます。
「曽我物語」は曽我十郎・曽我五郎の兄弟が、周囲の人に助けられながら父の仇・工藤祐経を討つ…というシンプルな仇討ちの物語で、鎌倉時代初期の実話を基にしています。
この演目で描かれるのは曽我兄弟が工藤祐経に会う、つまり対面するというだけの場面です。ストーリーというよりもシーンといったところです。
歌舞伎らしい「様式」が楽しめる演目!
壽曽我対面はいわゆる起承転結のあるお芝居ではなく、舞台の上の歌舞伎らしい美しさが前面に押し出された「様式」を楽しめる演目であります。
物語の流れがあるわけではないので初めてご覧になる場合、これは一体どういった話か…と感じられる方もおいでかもしれません。そもそもどういった前提にあるのかといったことについて、本当に簡単にお話したのがこちらの回です。
おめでたい場面に頻出
題名に「寿」とついていることからもわかるように、「壽曽我対面」は襲名披露やお正月などおめでたい興行の際に上演されることが多い演目であります。その「おめでたさ」の由来について、本当に簡単にお話した回がこちらです。
三津五郎さんの十代目襲名披露狂言であったことから、今回の追善狂言として選ばれています。www.suehiroya-suehiro.com
登場人物の華々しさ
先ほど「歌舞伎らしい美しさ」と申しましたように、いろいろな隈取の人物がぞろぞろと登場するのも魅力の一つです。多くの方が歌舞伎といえば隈取を連想されると思いますが、どの演目を見てもあの隈取が必ず見られるというわけではありませんので、そういった意味では期待を裏切らない演目かと思います!
なかでも特徴的な隈取を施す役柄・小林朝比奈についてごく簡単にお話したのがこちらの回です。今月は松緑さんがお勤めになっています!
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曽我兄弟といえばこのモチーフ
主役である曽我十郎・五郎兄弟の特徴的な衣裳デザインについてお話しております。今回の兄・十郎は時蔵さん、弟・五郎は巳之助さんがお勤めになります。三津五郎さんの御子息の巳之助さんが初役に挑まれるという記念すべき一幕です!