ただいま新橋演舞場で上演されている初春歌舞伎公演 市川團十郎襲名記念プログラム SANEMORI
歌舞伎座での二カ月にわたる襲名興行を終えたばかりの團十郎さんによる舞台です。今回はジャニーズ事務所のアイドルグループSnow Manから宮舘涼太さんがご出演で、演舞場が幅広い世代の方々でにぎわっています。
このすえひろも拝見してまいりましたが、宮舘さんの想像をはるかに超えたご活躍ぶりに驚きいるばかりでした。これを機に歌舞伎に興味を持たれる方が増え、歌舞伎公演がにぎわうとうれしいです。
SANEMORIは2019年に自主公演のABIKAIにて上演された演目だそうで、今回は演出を変えての上演のようです。
大筋としては成長後の源義仲を軸にすえ、その出生秘話として浄瑠璃『源平布引滝(げんぺいぬのびきのたき)』から「義賢最期」「実盛物語」の場面を見せつつ、斎藤実盛と源義仲の絆を描くというものでした。
演目後半では、團十郎さんの斎藤実盛による「実盛物語」がほとんど原形のまま(確か)上演されていました。超常現象が起こったり、源平合戦にまつわるお約束などが盛り込まれた場面であるため、初めてご覧になる場合は謎が多い演目かもしれません。
「実盛物語」については、こちらのブログで過去に詳しいあらすじをお話しています。ここにひとつまとめてみますので、今回初めてご覧になった方や、どんな内容であったのかご興味をお持ちの方にお読みいただければ幸いです。
実盛物語のあらすじ
実盛物語(さねもりものがたり)のあらすじをざっくりとご紹介しますとこのようなものです。
義賢から源氏の白旗を託された小万は、琵琶湖で旗を握りしめた腕ごと切り落とされるなどしてあえなく落命。そうとは知らぬ葵御前は、匿われた小万の実家でその帰りを待っています。すると、源氏の白旗を握ったままの腕と小万の遺体が運び込まれ、小万はしばしのあいだ蘇生。葵御前に源氏の白旗を託すのでした。
そんななか葵御前は産気づき、木曽義仲を出産。小万の息子の太郎吉が手塚太郎として義仲の忠臣となること、二人で平家方の斎藤実盛を討つ未来を予感させる。
歌舞伎の演目は源平合戦を題材にしたものが大変多く、観客も題材について把握していることを前提に作られているようなところがあります。しかしながら現代人はそうもいきませんので、わかりにくい点も多々あるかと思います。
そういった事柄を含めながらご紹介したのが下記のあらすじです。斎藤実盛の魅力をより深く味わうためのお役に立てれば幸いです。
またお話したのは古典歌舞伎の「実盛物語」ですので、今回の「SANEMORI」では若干内容が変わっている可能性があります。その点は何卒ご容赦くださいませ。