ただいま歌舞伎座では六月大歌舞伎が上演中です!
第一部で上演されている「菅原伝授手習鑑 車引」は、巳之助さんの梅王丸と壱太郎さんの桜丸という若いお二人を、松緑さんの松王丸と猿之助さんの藤原時平が迎えうつという新鮮な配役です。
「菅原伝授手習鑑 車引」はこれぞ歌舞伎というような屈指の名場面で、上演頻度も比較的高いです。そのためこちらのブログで過去にお話した回がたくさんございますので、いくつかまとめてみます。芝居見物のお役に立てればうれしく思います。
そもそも菅原伝授手習鑑とは
菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)とは、三大狂言の一つに数えられる名作です。「菅原道真の大宰府左遷」という歴史上の出来事に、三つ子ちゃん誕生の話題を織りまぜて作られた物語で、さまざまなケースにおける「親子の別れ」を描き出します。歴史上の出来事が題材というとどうしても堅く感じますが、普遍性のあるホームドラマでもあり、現代人にも共感できる物語です。
とはいっても、今回上演されている車引の場面は少し違います。物語の起承転結を楽しむのではなく、シーンそのもの様式美とインパクトを味わう場面です。「なにがなんだかよくわからないがとにかくすごい」という味わい方でも充分楽しめるかと思いますので、セリフの聞き取りや内容の理解が心配な方もご安心ください。
ざっくりとしたあらすじについてはこちらの回でお話しております。
隈取に違いがあります
歌舞伎といえばやはり隈取のイメージが強いですが、実は歌舞伎にもいろいろなジャンルがありますので、全ての演目に隈取の役者さんが登場するわけではありません。むしろ、イメージの強烈さに比べると少ないように思います。
そんななか、この車引の場面ではさまざまな種類の隈取を施した役者さんの姿を見ることができます。歌舞伎を見た満足感が強いので、初めての方には大変オススメです。
隈取はその種類によって、どんなキャラクターなのかわかるようになっている優れものなので、一度覚えておけば次回の芝居見物の際にも役に立ちます。そんな隈取の違いについてお話したのがこちらの回です。
物語の結末
菅原伝授手習鑑は全五段にわたる長い物語で、あまり上演されることのない恐ろしい結末が待っています。どのような結末を迎えるのか?ということについてお話したのがこちらの回です。車引の場面には直接関係ない内容ですが、機会があれば他の場面もぜひご覧になってみてくださいませ。