ただいま歌舞伎座で上演されている吉例顔見世大歌舞伎
毎年11月に開催されている「顔見世」。江戸の歌舞伎界の言葉で、簡単に申しますと向こう1年のオールスター勢ぞろいというような意味合いです。現在では名前を冠するばかりとなっていますが、秋の深まりを感じる風物詩です。
夜の部で上演されている「顔見世季花姿繪」のうち「三社祭」は、有名な浅草の三社祭を題材とした楽しい舞踊です。日本舞踊はちんとんしゃんというようなゆったりとしたイメージがあるかもしれませんが、それを覆すような躍動感に満ちた舞踊であります。今回は巳之助さんと尾上右近さんが、同世代らしい息ぴったりの活気あふれる舞踊を披露なさっています。見ているだけでワクワクと心躍るひと時です。
「三社祭」についてはこちらのブログでも過去にお話ししたものがございますので、ここにひとつまとめてみます。見ているだけで楽しい舞踊なのですが、お読みいただくとよりおもしろく味わえるのではないかと思います。何らかのお役に立つことができれば幸いです。
三社祭とは
三社祭(さんじゃまつり)は、1832年(天保3)に江戸は中村座で初演された「弥生の花浅草祭(やよいのはなあさくさまつり)」の一景です。清元節という音楽に乗せた「変化舞踊」というジャンルの舞踊でした。どんな成り立ちであったのかということをまずお話したのがこちらの回です。
元ネタ「浅草観音の縁起話」
歌舞伎の演目は、江戸の人々にとっては常識であった事柄が大前提となっていることが多いので、現代人にはどうしても謎が多くなりがちです。舞踊の内容の前に、まずは元ネタである浅草観音の縁起話についてお話しています。これも江戸庶民にとってはお馴染みの事柄であったようです。
ざっくりとした内容
見ているだけで充分に楽しい舞踊なのですが、なかなかに謎めいているため、一体何なのかという疑問も湧いてくるかと思います。舞踊で描かれている内容を、詞章とともにご紹介いたしました。
善玉悪玉って何
最も謎なのは、「善玉」「悪玉」という存在ではないでしょうか。これも元ネタがありまして、ご紹介したのがこちらの回です。広く社会に目を向け、よりよく生きていこうという市井の人々の活動は、江戸時代にもあったようです。
江戸の名優たちの踊り比べ
舞踊「三社祭」の成り立ちには、巳之助さんゆかりの江戸の名優・四代目三津五郎が大いに関係しています。江戸の歌舞伎役者たちの生き生きとした関係性を知りますと、現代の方々の姿がより輝いて見えてくるように思います。