ただいま歌舞伎座で上演されている秀山祭九月大歌舞伎
秀山祭は、初代吉右衛門の芸を顕彰するため毎年九月に開催されてきた公演です。今回は、2021年にこの世を去られた吉右衛門さんの三回忌追善として上演されます。
現在昼の部「土蜘」「一本刀土俵入」にご出演中の幸四郎さんが体調不良により休演され、土蜘は菊之助さん、一本刀土俵入は勘九郎さんが代役をお勤めです。幸四郎さんは大丈夫でしょうか。お若いとはいえ、昨今流行り病が増えているうえ暑さも続き、大変心配な状況ですね。一日も早いご復帰を祈っております。
夜の部で上演されている「連獅子」は、多くの方が歌舞伎といえばこれと思い浮かべるような定番の歌舞伎舞踊です。親獅子と仔獅子が赤と白の毛をぶんぶんと振り回すシーンが大変有名ですね。親子の情愛を描いた作品ですので、襲名披露などの記念の舞台や親子共演などゆかりの深い方々のご共演で上演されることが多いです。
今回の歌舞伎座は吉右衛門さん追善の秀山祭らしく、吉右衛門さんの義理の御子息である菊之助さんとお孫さんの丑之助さんがご共演なさっています。連獅子は近年非常に上演頻度が高く、過去の上演にお話したものがいくつかありますので、ひとつまとめたいと思います。何らかのお役に立てれば幸いです。
連獅子とは
連獅子(れんじし)は歌舞伎演目の中でも大変有名ですので江戸時代の作品のようなイメージがあるかもしれませんが、実は明治時代に入ってから生まれた作品です。1872年(明治4年)に東京の村山座で初演されました。作者は、幕末から明治にかけて活躍した名作者の河竹黙阿弥です。
「獅子の子落とし」の伝説をもとに作られている作品のため、襲名披露など記念すべき場面において親子でお勤めになることが多く、近年もかなり高い頻度で上演されています。もちろんそれ以外の場面でも上演があります。
ざっくりと内容をつかむ
まずは内容をおおまかに3ブロックでご紹介したのがこちらの回です。
詞章と内容
3ブロックそれぞれの内容と特徴的な詞章をご紹介したのがこちらの回です。
詞章が聞き取れますとより舞踊の世界を楽しめるのではないかと思います!
清涼山の石橋伝説から
「獅子」と聞きますと、やはり思い浮かべるのはライオンではないでしょうか。しかしながら、あの長い毛が表現しているのはネコ科のライオンのたてがみではありません。
ここでいう「獅子(しし)」というのは、中国清涼山の伝説上の生き物のことであります。獅子という生き物とあの長い毛についてお話したのがこちらの回です。かなり古い記事ですので、機会を見て改めてお話したいと思います。