ただいま京都祇園四条の南座にて上演中の
京の年中行事 當る辰歳 吉例顔見世興行
市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台と冠された公演です。2022年11月の歌舞伎座から始まった襲名披露公演も、いよいよ南座へ。江戸歌舞伎の大名跡の襲名披露ですので、華やかな南座がますます華やいでいるのだろうとこのすえひろも楽しみにしております。
昼の部「歌舞伎十八番の内 外郎売」は、大人気の勸玄さんが八代目新之助の初舞台としてお勤めになっている記念の演目です。これまでも何度かお勤めになっていて、見事な言い立てがテレビなどでも数多く報じられていました。
この演目については過去にお話したものがいくつかありますのでここにひとつまとめてみます。何らかのお役に立てればうれしく思います。
歌舞伎十八番の内 外郎売とは
そもそも歌舞伎十八番の内 外郎売(ういろううり)とは、1718年(享保3年)のお正月に江戸は森田座で上演された「若緑勢曾我(わかみどりいきおいそが)」をルーツとする演目。小田原名物の「外郎」を売る風俗を描いたもので、売り文句を早口で述べる「言い立て」のセリフ術が眼目です。
成田屋とのゆかり
今回は成田屋の襲名披露の舞台ですので、まずはこの演目と成田屋とのゆかりと、「言い立て」消滅の危機を経て、家の芸になるまでの経緯を簡単にお話したものをご紹介いたします。
伝統芸能とひとくちに言っても、そのすべてが常に大切に守られてきたのではなく、存続の危機は様々な形で訪れているのですね。それでもなお今に受け継がれたものには、それだけの魅力があるのだろうと思います。
ういろうとは何か
演目に出てくる「ういろう」とは一体何なのかということについてお話したのがこちらの回です。お馴染みの名古屋名物のお菓子ではなくて、小田原名物の品であります。
商品PRとしての「外郎売」
この演目はそもそも、二代目團十郎による愛用商品コマーシャルのような意味合いを持っていました。我々がお茶の間でテレビを見るような、メディアとしての歌舞伎、エンタメとしての歌舞伎を想像させてくれるエピソードです。