ただいま歌舞伎座にて上演中の十二月大歌舞伎
第三部「義経千本桜 吉野山」は七之助さんの静御前と松緑さんの狐忠信という配役。いわゆる道行初音旅ではなく、義太夫のみで清元がないパターンでの上演です。狐の引っ込みや逸見藤太の愉快なシーンなどがなくシンプルですが、義太夫の重みが感じられます。
「義経千本桜 吉野山」については過去にお話したものがございますので、ここにひとつまとめてみます。芝居見物や配信の際などのお役に立てれば幸いです。
なお、お話した内容などは清元のある上演に則っていますので、今月とは少し異なります。その点何卒ご容赦ください。
義経千本桜とは
義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)は、三大狂言のひとつにも数えられる名作。人形浄瑠璃として1747(延享4)年11月 大坂は竹本座で初演、その直後の1748(延享5)年1月 に伊勢の芝居で歌舞伎化され、5月には江戸の中村座でも上演、その後現在に至るまで愛され続けているというメガヒット作であります。
「滅ぼされた平家の○○、実は生きていた!」という驚きの設定のもと、義経への復讐をどうにか遂げようとするさむらいたちとその周辺に悲劇が展開していきます。
ひとつの物語であるのに主人公といえる存在が3人いて、武士・庶民・動物と身分が全く異なり、場面ごとに味わいがガラリと変わるところも大きな魅力です。それゆえ、歌舞伎役者の方々にとっては至難とされています。
義経千本桜全体の内容をざっくりとご紹介したのがこちらの回です。このうち今回上演されているのは「吉野山・川連法眼館」の部分です。
「吉野山」状況説明と演出のポイント
そもそもの状況説明と、歌舞伎ならではの演出についてご紹介したのがこちらの回です。
「吉野山」内容と見どころ
詞章の内容や、動きの意味などについてご紹介したのがこちらの回です。
先ほども申した通り、清元ありのいわゆる道行初音旅の内容に則っていますので今月は少し違います。違いなどもお楽しみください。
「川連法眼館」ざっくりとしたあらすじ
この場面の後に続く「川連法眼館」の内容について、五回に分けてお話したのがこちらの回です。四段目の切という部分にあたるため「四の切(しのきり)」という通称でも知られています。佐藤忠信実は源九郎狐とは何者で、どうして静御前のそばを離れないのかということがわかります。