ただいま歌舞伎座で上演中の四月大歌舞伎!
昼夜ともに古典の名作と華やかな舞踊が並んだ狂言立てで、歌舞伎が初めての方にも見やすい内容なのではないかと思います。しかし昼夜で雰囲気はがらりと変わります。上方のドラマチックで濃厚な演目をじっくりとご覧になりたい方には昼の部を、江戸の軽やかな味わいを楽しみたい方には夜の部がおすすめです。
昼の部で上演されている「夏祭浪花鑑」は、特に濃いめの演目です!
舞台はナニワ、和彫りのタトゥーが背中一面に入った刑務所帰りの男が、夏祭のうだるような喧騒のなか仁義のために追い込まれ、ある選択をする…という物語であります。マンガや映画のようですよね。今回は愛之助さんが主人公の団七九郎兵衛を、菊之助さんが義兄弟の一寸徳兵衛をお勤めになります。
「夏祭浪花鑑」については、過去にお話したものがいくつかございます。古くて稚拙なものも含まれますが、今回初めてご覧になる方にとって何らかのお役に立つことができれば幸いです。
夏祭浪花鑑とは
夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)は、1745年(延享2年)7月に大坂は竹本座にて人形浄瑠璃として初演された演目。翌月には京都の都万太夫座にて歌舞伎として上演されています。
ケンカがもとで牢屋に入っていた魚売りの団七という男が出所したところから物語が始まります。これから心機一転がんばろうというところ、団七の恩人をめぐるゴタゴタが起こり、団七は恩人への思いから強欲で厄介な舅を殺してしまう…という、ヤンキー漫画、任侠映画のような物語です。祭ばやしに神輿、色鮮やかな彫り物、派手なケンカ、泥水にまみれた殺し、といった強烈な視覚刺激とともに、侠客の道をいく男と女の生きざまがカッコよく描かれます。
ざっくりとしたあらすじ
舞台の上で起こることに補足を加えながらお話したあらすじがこちらです。
成り立ちや元ネタ
まずは演目の成り立ちや元ネタの事件について簡単にお話した回をご紹介いたします。
団七の名のついた模様
夏祭浪花鑑ゆかりの「団七縞」という衣装デザインについてごく簡単にご紹介したのがこちらの回です。暑くなると着てみたくなる爽やかな柄ですね。