ただいま国立劇場にて上演中の令和5年3月歌舞伎公演『一條大蔵譚・五條橋』
国立劇場は秋には閉場してしまいますので、あの歴史ある劇場空間で過ごせる残りわずかな機会です。あぜくら作りを表現した見事な建物や、昭和の雰囲気を残すロビー・食堂ともお別れですね。寂しい限りです。私は建材をふんだんに使った昭和の重々しい建物が好きですので、とても残念に思います。素敵な空間ですから、迷っておいでの方にはぜひにとおすすめいたします。
「一條大蔵譚」は比較的上演頻度の高い演目で、過去にこのブログでも何度かお話しておりますので、ここにひとつまとめておきたいと思います。今回は冒頭の「檜垣」の場面の上演がありませんので、補足情報としてご活用いただければ幸いです。
今回「檜垣」の代わりに上演されている「曲舞」の場面は非常に上演機会が少なく、一條大蔵卿を当たり役とされていた吉右衛門さんが上演を切望されていたものだそうです。またとない機会ですのでぜひにとおすすめいたします。
今月は吉右衛門さんとゆかりの深い又五郎さんが一條大蔵卿をお勤めになっています。吉岡鬼次郎に歌昇さん、お京に種之助さんという若々しい配役です。
お話の前置き
そもそもこの演目はどういった前提のものなのか?ということについて、ごく簡単にお話した回です。
ざっくりとしたあらすじ
五條橋
今回は「五條橋」の場面も上演されていますので、より英雄義経のプロローグ的な味わいが感じられるのではないでしょうか。
貞女の鑑 常盤御前
一條大蔵卿と共通の目的を持ち、世を欺きながら源義朝への貞節を尽くしている常盤御前。のちに平家滅亡を実現する義経のお母さんです。長らく謎多き美女として知られていたようで、浮世絵にも描かれています。
本性をあらわすときのド派手な演出
この演目の大きな見どころである「ぶっかえり」。衣装がパッと変わる歌舞伎らしいド迫力の演出でして、それについてごく簡単にお話しております。
一篠大蔵卿にはモデルが?
主人公・一條大蔵卿のモデルとされる人物や、名セリフについてお話した回です。